春の訪れ
店名
ヴァルト ハウス -森の家-
ジャンル
ウェルネスキュイジーヌ
果報な一皿
Wellnessランチコースの前菜「春の訪れ」
episode 01

栄養学に裏付けられた
ウェルネスキュイジーヌに注目!

土から芽吹いた若々しい山菜や春の畑でとれたフレッシュな野菜たちの生命力溢れる、まるで春の萌しを見ているような一皿。

こちらは「ホテル グランバッハ東京銀座」(以下、グランバッハ銀座)のレストラン「ヴァルト ハウス -森の家-」のWellnessランチコースの前菜「春の訪れ」。ランチのシグネチャーともいえる一皿です。

筍やこごみ、さやえんどう、そら豆、紅芯だいこん、ラディッシュ、プチヴェールなどの野菜がグリーンとホワイトの2色のアスパラガスに巻かれていて、その中にはふわふわのディップソースが隠れています。それは山うどのピューレと黄身の濃い卵をつかったタルタルソース。卵の濃厚なコクとクリーミーな口当たりのなかにも、山うどの存在感は際立ち、その爽やかな香りとほろ苦さに春を目一杯感じることができます。

土に見立てているのは砕いたカカオニブやアーモンド、クルミ、自家製ドライオリーブで、香ばしさや食感がアクセントに。

もう一つ、新玉ねぎとルッコラの萌黄色をしたドレッシングがミニグラスで添えられています。お好みで味変したり、さまざまな香りや食感も同時に味わえたり。まさに「春の訪れ」をいろいろな野菜の形を通して感じられる仕掛けになっているのです。

「お野菜をいかに効率よく摂っていただけるか。これはメニュー作りにおいて大切にしていることの一つです」とは、グランバッハ銀座のウェルネスフード・コンシェルジュという肩書きを持つ大島瑠梨子さんです。大島さんは総料理長をはじめ料理スタッフとともにメニュー開発を手がける管理栄養士でもあります。

「例えば、野菜に含まれるビタミンは、水溶性か脂溶性かによって効率的な摂り方が異なるんですね。脂溶性のビタミンは油と一緒に摂らないと吸収が悪くなってしまうため、ドレッシングのベースにはオリーブオイルなどを使用し、脂質を多く含むナッツと一緒に摂ることで、より吸収がよくなります。油はどうしても嫌厭されがちですが、酸化に強いオレイン酸などを豊富に含む良質な油はコレステロールを下げる働きがありますので、ここでは積極的に使っています」

この説明を聞いたとたん、さっきいただいた前菜がより一層おいしく感じられ、満足感が増したように思えてくるのが不思議です。さらに、コース全体で300g以上の野菜を摂取できるように計算されているそう。おいしく、カラダにやさしいとは感じていましたが、栄養面での裏付けも得られ、頭に理論的にインプットされることにより、さらに満足感が高まることを実感。料理の楽しみ方の新しい扉が開いたような新鮮な感覚を受けました。

Wellnessランチコースには季節ごとにテーマが設けられています。春のテーマは『美味しく糖質OFF』。とても興味深いテーマで、心惹かれます。でも、なぜ春にこのテーマなのでしょうか? 提案したという大島さんが教えてくれました。

「春は生活スタイルに変化があったり、上半期のスタートだったり、新しい気持ちで何かを始めるのにふさわしい季節ですよね。夏に向けてダイエットを始めようという方もいらっしゃると思います。そこで、ご自身の食生活やカラダを見直す機会にしていただければと思いこのテーマにしました。糖質制限に興味はあるけど我慢はしたくない、たんぱく質がいつも足りない、そう思っている方に、がんばらない形で“おいしい”と“健康”を両立させた料理をコースでお召し上がりいただけます」

アミューズにはグリーンピースのパウダーアイス「野菜のパルフェ」、前菜に食べ応え十分な「春の訪れ」、メインには低脂肪高たんぱくな魚料理または鶏肉料理が選べ、パスタ料理には黄えんどう豆100%のマカロニを使用した「菜の花とマメロニ」、そしてデザートには日本を代表するパティシエ「Toshi Yoroizuka」オーナーシェフ鎧塚俊彦氏監修の「春の低糖質デザート ロカボフレーズ」の全5品が味わえます。

これだけ食べてもカロリーは600Kcal台に抑え(デザートは含まない)、糖質はなんとメロンパンの3分の2で、約40g(糖質制限中の摂取目安は1日当たり70g〜130g)。使用する野菜は旬の春野菜(写真は一部)を中心に300g以上(1日の野菜摂取目標は350g)。そのほか、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量までこまかく算出され、メニューにある二次元コードを読み込んだ先で栄養価を確認できるのもうれしい点。

原材料が小麦粉ではなく、豆からつくられた代替パスタなら、たんぱく質や食物繊維が豊富な上、小麦粉に比べて糖質も少なく、まさに普段からたんぱく質が足りていないと自覚している私にとってもうれしい一品です。

大島さんはメニュー開発を手がけるだけではなく、ホテルに常駐し、時々レストランで接客をしたり、興味のある方にはメニューの説明をしたり、なるべくお客様との接点をもつようにしているとのこと。「お客様の反応をみて次のメニュー作りに活かせるというのは、やりがいにもつながっています」と大島さん。レストランに直接携わり、お客様との接点をもつことの強みを語ってくれました。

写真:コースの4品目に登場するパスタ料理。黄えんどう豆100%のマカロニを使用した「菜の花とマメロニ」はまさに糖質をおさえた一品

 

翻って、食べ手にとってもそれはうれしいこと。料理の感想はもちろん、いま食べている料理のメリットについてや、普段栄養面で気にしていることなどを直接お話することができたら、これは貴重な食体験になるはず。そこで得た知識は自宅に帰ってからの食生活にも活かせそうです。そして何より、レストランに直接携わり、お客様と接点をもつ管理栄養士の存在は頼もしくもあり、どこかほっとする安心感をも与えてくれるのです。

「美味しく糖質OFF」をテーマにした春のWellnessランチコースは全5品4,400円。3月〜5月末までの提供です。

食物アレルギーやヴィーガン・ベジタリアンなどの要望がある場合も事前に相談で対応可能。

この春ダイエットや糖質制限を始めようと考えている人はもちろん、そうでない方にとっても満足必至の「美味しく糖質OFF」ランチはいかがですか?

episode 02

料理人×管理栄養士による
最強のおいしさを体験!

2021年11月に開業したグランバッハ銀座は、京都、熱海、仙台に展開している「ホテル グランバッハ」ブランドのひとつ。その名の通り、偉大なる音楽の父 J.S. バッハの音色とウェルネスキュイジーヌで心身ともに癒やされるホテルステイをコンセプトに掲げています。

ホテルに一歩足を踏み入れれば、館内に流れるバッハの調べが耳に心地よく、1階にあるホテルダイニング「ヴァルト ハウス -森の家-」では音楽に加えて、心身ともに癒される料理を満喫でき、クラシック音楽好きならずとも至福のひとときを過ごせます。

注目はコンセプトのひとつである「ウェルネスキュイジーヌ」。「ウェルネス」というワードはレストランでも目にするようになってきましたが、ここまではっきりとコンセプトに掲げるレストランは珍しい。なんとなくふんわりした概念しか持っていなかったので、ここで「ウェルネスキュイジーヌ」とはどういう料理なのか伺いました。

「ウェルネスは、いわゆる “健康” とか “ヘルシー” とか、ただ肉体的な側面だけを意味するのではなく、精神面やライフスタイルのところまで広義的にとらえたものです。ウェルネスキュイジーヌは、食べることによって健康な状態を目指すそのプロセスやライフスタイルも含め、カラダも心も両方が満たされる料理のことですね」

そう話してくれたのは、グランバッハ銀座の総支配人であり、総料理長である佐藤敏浩さんです。

総料理長がホテル総支配人まで兼ねるとは、それだけ「食」に力を入れているという証。しかも、料理人と管理栄養士が一緒に取り組んでいるホテルダイニングというのも新しい形態です。それもそのはず、運営会社の株式会社グリーンホスピタリティーマネジメントのグループ会社である株式会社グリーンハウスは、約2,000人もの管理栄養士を抱える会社。ホテルやレストランだけでなく、学校給食や社員食堂、シルバーや病院、ヘルスケアの事業を展開していて、管理栄養士が幅広い方面で活躍している会社なのです。

「グランバッハ銀座を開業するにあたり、ウェルネスキュイジーヌを掲げ、管理栄養士を迎えてみようということになりました。ホテル事業では初めての試みで、ウェルネスフード・コンシェルジュというポジションで管理栄養士の大島さんに担当していただいています」

料理人と管理栄養士がそれぞれの強みを生かして仕事をするホテル、レストランは全国的にも珍しく、まさに画期的! 料理を作る技法や魅せる技術、そこに栄養面でのノウハウや科学的根拠がプラスされた料理はもはや最強といえるのではないでしょうか。

でも、料理人と管理栄養士が対等に仕事するなかにも、「さまざまな面でお互いに譲れない点があり、実はその調整が大変なんです」と大島さんは苦労の一コマをのぞかせます。

「栄養価の計算をした上で、もう少し塩分を引いたほうがいい、こういう食材を使ってほしいと、副料理長と喧々諤々とやりとりします(笑)。でも、料理人からみたら、それがおいしさのポイントで譲れない部分もありますよね。全体のバランスをみてお互いに調整しあってメニュー開発をしています」

その押し引きの末に磨かれて完成されたコース料理は、正真正銘、おいしくカラダにやさしい、心身ともに満たされるもの。グランバッハ銀座ならではの強みが生かされた食体験となるはずです。

 

佐藤さんは「今後たくさんのウェルネスフード・コンシェルジュが活躍し、管理栄養士がレストランの世界にますます深く関わるような時代がくると思います」と展望を語ってくれました。これからウェルネスキュイジーヌというジャンルがじわじわと裾野を広げていくなかで、グランバッハがその草分けとしての役割を果たしていくのではないかと思うと、今後の展開にも目が離せません。

 

文=味原みずほ  写真=新谷敏司

PROFILE

佐藤敏浩 / 大島瑠梨子(さとう・としひろ / おおしま・るりこ)

佐藤敏浩

1967年、宮城県石巻市生まれ。国内ラグジュアリーホテルの調理部門にて研鑽を積み、(株)グリーンホスピタリティーマネジメントに入社。グループ運営ホテルの料理長を歴任後、執行役員総 料理長に2016年に就任。グランバッハ熱海クレッシェンド総支配人を経て、2021年、グランバッハ東京銀座総支配人兼総料理長に就任。ウェルネスキュイジーヌをテーマに、四季を感じ、心まで元気になる美味しい「癒し」を提供する。座右の銘は「教学相長ず」

 

大島瑠梨子

1989年、栃木県宇都宮市生まれ。東京家政大学で栄養学を専攻後、管理栄養士資格を取得し、2012年に(株)グリ ーンハウスに入社。法人向けに毎日1,200食のメニュー提供・管理を担当しながら、健康セミナー講師、特定保健指導者として、300名の健康をサポート。2021年、ホテルグランバッハブランドで初となる「ウェルネスフード・ コンシェルジュ」に就任し、ウェルネスをテーマにしたセミナーや「カラダ丸わかりプラン」を企画・実施中。食事だけでなく、運動や睡眠などホテルでの滞在をトータルサポートし、お客様に寄り添った心身の癒しを提供する。「管理栄養士というと病院食のイメージが強いかもしれませんが、そのイメージをいい意味で払拭したいです!」

<シェフがいま気になる野菜を紹介>

ホテル総支配人・総料理長 佐藤敏浩さん

「今一番気になるのはフェンネル。和名ではういきょう、フランス語ではフネイユと呼びます。輸入のハーブですが、最近は日本でも作られるようになりました。やはり輸入のものより香りが非常によい。やわらかく食感もよいですね。さらに、スティックフェンネルやミニフェンネルも出回っていておもしろい。サラダはもちろん、グリル、煮込み、ソースにもよく使います。国産は品種改良され、もともとの輸入野菜よりもおいしくなっていますね」

 

ウェルネスフード・コンシェルジュ 大島瑠梨子さん

「今注目しているのは葉玉ねぎ。長ねぎと玉ねぎのいいとこどりで最高級においしいと思っている野菜の一つです。はじめて食べた際にはびっくりして、いつか使いたいと思っていましたので、今回メイン料理のお野菜として使っています。たくさん出回っているわけではないので、見かけたらぜひ手にとってほしいお野菜です」

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