夏至(げし)ときゅうり
[2023年6月21日]二十四節気

日本の暦と旬の野菜-夏

夏至にあたる頃は、1年で最も日の長い時期。

2023年は6月21日となり、いよいよ夏ですが、梅雨があけきらず、いまだ曇天や雨天が続きます。ですが、この雨のおかげで、秋の収穫に向け、植物がすくすくと育っていくのです。

ちなみに、茶室では「水無月(みなづき)」という名の和菓子が振る舞われる時期。これは小豆の入った三角形のういろうで、邪気払いの意味合いを持つものです。
 

※二十四節気とは、1年を春夏秋冬の4つに分け、そこからさらに6つに分けた、約15日間の季節を表す言葉。現在は最初の日だけを指すことが一般的ですが、本来はこの15日間を表します。

※日本の暦は、旧暦(太陰太陽暦の暦法「天保暦(てんぽうれき)」)から、1872年にグレゴリオ暦(太陽暦)が採用され、新暦と呼ばれます。特別な表記がない場合を除き、日付は新暦です。

※二十四節気の日付は毎年異なり、1日程度前後します。

早苗饗(さなぶり)の行事を行う


旧暦でのこの頃には、「早苗饗」という行事が行われました。
これは、「早降(さおり)」という、田植えはじめに田の神を迎える行事と対になったもので、田植えの終わりに田の神を送る行事です。

田植えが盛んな地域で行われ、1ヶ月以上通して行われた田植えの苦労を、仲間内でねぎらいました。また、田の神には、把の早苗や神酒を供え、無事に田植えを完了できたことを感謝します。

そのほかにも、ネコブ(根のついた昆布)や尾頭つきの魚、五目ずしを供えますが、その内容は地域によっても異なります。

夏野菜の定番・きゅうり

夏至_きゅうり

この頃、旬を迎える野菜はきゅうり。5〜8月頃に旬を迎える、夏野菜の定番ですね。普段の食卓にも並ぶ野菜ですが、旬であるこの頃は、みずみずしさが一層際立ちます。

 

<きゅうりの栄養>


きゅうりの栄養素で、特に豊富なのはカリウムです。ですが、実はカリウムは、基本的にどのような野菜にも豊富に含まれる栄養素。そのため、ほかの野菜と比較して、きゅうりのカリウムが特段豊富なわけではありません。

しかし、他の野菜と比較して、手軽で単体でも食べやすいというのが、きゅうりの利点だと思います。和物にしたり、スティックにしておつまみにしたりと、ちょっとした付け合わせに活躍させましょう。

カリウムには、塩分の排出作用があり、むくみの改善やデトックス効果が期待できますよ。

 

<きゅうりの保存方法>


きゅうりは、乾燥と低温、水分に弱いデリケートな野菜です。

適切な保存方法にすることで、長くみずみずしい状態で食感を楽しむことができますよ。冷蔵庫で保存するときは、ぜひ次の方法を試してみてください。

・表面についた水気を拭き取る
・新聞紙やキッチンペーパーで表面を覆う
・冷蔵庫の野菜室で「立てて」保管する
 

<そのほかの旬の野菜>


この時期に旬を迎えるそのほかの野菜は、次の通りです。

 

  • グリーンピース
  • なす
  • ししとうがらし
  • トマト
  • レタス

芳醇な香りのももが旬! 

夏至_もも

 

ももが旬を迎える時期です。芳醇な香りと溢れ出る果汁がたまらない、贅沢な果物ですよね。
口にできる時期が限られているので、この時期に是非一度は味わいたいものです。

この時期に収穫される桃の品種は、「白桃」で、5月下旬から6月頃にかけて収穫されます。

対して、最も生産されている品種は「白鳳(はくほう)」。
人の頬を「もものようなほっぺ」などと比喩することがありますが、そのイメージ通りの薄紅色と薄橙色(うすだいだいいろ)が入り混じった見た目が特徴的です。こちらは、7月中旬頃から出回ります。

 


夏本番を迎える夏至の季節。

夏野菜も多く出回り始め、野菜が一層美味しくおいただける時期の到来です。気候が安定せず、あまり外に出られない時期だからこそ、旬の野菜でお料理を楽しんではいかがでしょうか。
 

WRITER

坂田芽唯
Mei Sakata

管理栄養士。栄養・レシピ・ヴィーガンなど、食に関する記事をWEBコンテンツで執筆。その他、カフェのメニュー開発、料理動画制作などをして活動。これまでは給食提供のほか、離乳食指導や食育指導に従事。幼少期から茶道を習っており、日本文化が好き。こども食堂を開くのが夢!