update - 2021.04.28

ハワイ島のジャングルで過ごした、
“一期一会な夜”<前編>

【野菜を愛する、小さなカフェ便り#4】

ヴィーガンシェフ・料理研究家として毎日キッチンに立つ篠宮美穂さん。2011年からハワイのヴィーガンカフェで働きはじめ、そこでさまざまな人と出会い、そして大自然の中での暮らしを体験していきます。今回の舞台は、なんとハワイ島のジャングルの中! 美穂さんにとってスペシャルでワイルドな、ハワイ島での数日間を紹介してくれました。

ジャングル暮らしをのぞきに、
ハワイ島へのショートトリップ!

 

ハワイに渡って1年が経った2012年の暮れ、年末年始のお休みを使って、カフェの元上司であった森屋巴理奈(ありな)さん(以後、アリさん)を訪ねて、ハワイ島に行くことにした。

アリさんとご主人のゼンさんは、ハワイ島のジャングルを開拓して自分たちで家を建てるため、2012年の初夏に、オアフ島からハワイ島南東端のプナ地区へ引っ越して行ったのだった。
 
まだ2人が引っ越す前に、ゼンさんが図書館から借りてきた建築の本を「家なんて建てたことないから勉強しなくちゃ」と言いながら、店で読んでいたことがある。その後アリさんのSNSを通じて、2人が鬱蒼としたジャングルの木を一本一本切り倒して、土地を切り開いていく
様子、家が徐々にできていく様子を興味深く拝見していた。私はそんな家を実際に見てみたいと思い、「ぜひお邪魔したいのです!」と唐突にお願いしたところ、快く招いていただいたのである。ここでの経験は、私の人生後にも先にもない、すばらしいものになった。

 

飛行機からの眺め
飛行機から見えた、マウナケアとキラウエア。


ヒロ空港に到着すると、ご親切にもアリさんが空港まで迎えに来てくださり、2人でジャングルのお宅に行く前にファーマーズマーケットに寄り道した。
 

屋台で売られているヤムイモ
ハワイの食卓には欠かせない、ヤム芋。

 

屋台で売られているかぼちゃ
かぼちゃもいろいろな色、形のものが売っている。



ファーマーズマーケットでは、ランチ用にと、アリさんお気に入りのタイのソムタム(青パパイヤサラダ)とパッタイ(タイ風焼きそば)、おせち料理に使う材料を購入した。サラダは、おばちゃんが目の前で材料を木臼の中に入れ、トントンとリズミカルに潰しながら混ぜて作ってくれる。スパイシーだけど、材料がフレッシュで、スパイスやハーブの香りがしっかりとしてとてもおいしかった。

 

屋台でサラダを売っている女性

 

サラダを作ってる手元

 

 

ソーラーパネルにコンポストなど、
はじめてのオフグリッド生活を体験!


いよいよジャングルへ向かう。「ルート・ダウン・ファーム」と名付けられたその場所は、舗装されていないオフロードの道を進んだ先にあった。鬱蒼とした緑のカーテンの中に、「ROOT DOWN FARM」の看板が見える。そのままガタガタと車を走らせると、やがて家が見えてきた。住む所と人が歩く道、畑にしている場所以外は本当にジャングルで、隣の家の敷地も家も視界に入らない。一面緑の世界だ。
 

ジャングルの中の看板
ジャングルの中に現れた看板。「Root Down Farm」の入り口。



2人の暮らしはオフグリッド生活と言って、電気も水も公共事業に頼らない半自給自足生活である。電気はソーラーパネルで、水は雨水を利用する。トイレでは排泄物をコンポストとして利用し、敷地の中にいろいろな野菜やフルーツを育てはじめているところだった。

※コンポスト……生ゴミや落ち葉などを分解させて、堆肥にすること。

車を降りると、ゼンさん、そして家族の一員である猫や犬たちが出迎えてくれた。家は高床式で、2階が住居スペース、1階の建物の下はストレージと洗濯機、冷蔵庫などが置かれている。キッチンとシャワールーム、トイレは、それぞれ外側に設置されていた。

 

高床式の家
ジャングルの中に建つ、高床式の住宅。Photo by Root down Farm


 

雨水を貯めているタンク
雨水を貯めているタンク。Photo by Root down Farm

 

階段を上がって家の中に入ると、何という開放感! 窓ガラスはなく、四方はスクリーンで囲まれており、ダイナミックに広がる視界とそして自然の匂い。虫の声と現地のカエル・コキフロッグの絶え間ない鳴き声、そして雨の音が聞こえてくるのだった。

久々の再会にほっと一息着いて、アリさんと2人で明日の年越し蕎麦と、おせち料理の仕込みに取り掛かる。一緒に料理をするのはお手のもので、「カフェで働いていたのを思い出すね」と言いながら、アリさんに「次はこれを切って」「この皮はこのままでいいよね?」「ミホちゃん、虫が入るからフタをすぐ閉めてね!(野外キッチンなので)」などと指示をもらい、私が材料を切って、アリさんが味付けや調理をささっとしてくれる。私は初めて作るヴィーガンおせちの作り方を見たり、味見をしながら学ばせてもらう。アリさんの料理はマクロビオティックが軸となっている。カフェの仕込みの時と同様に、野菜を鍋に入れる順番や、材料の組み合わせなど、料理を大切にしているこだわりがある。彼女の凛としたしなやかさと、奥深い愛情が注がれた料理は本当においしい!



 

夜の野外キッチン
夜の野外キッチンは雰囲気も満点。

 

夜ご飯の片付けをして、私は宿泊先のテントに向かう。テントは家から50メートルほど離れたジャングルの中。アリさんの真っ赤な長靴を拝借して、水たまりの中を愛犬ソフィーの道案内に従って歩いて行く。

 

道案内の犬の写真
ジャングルの案内犬・ソフィー。

 

電気はないので、夜は懐中電灯を片手に移動した。テントの外にはオアフ島では1匹見かけるだけでもうれしくなってしまう、黄緑色のヤモリ(ヒロオヒルヤモリ)がたくさんくっついている。そんな中で、私は幸せな気分で眠りについたのだ。

 

※後編に続きます!

 

 

美穂さんがステイしたRoot Down Farmは、宿泊も可能です。
 

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 <プロフィール>

 みほさんの画像

篠宮 美穂(しのみや みほ)

 ヴィーガンシェフ、ヴィーガン料理研究家、「MNEMONIC BEVERAGES」ディレクター。カフェを12年経営。渡米してヴィーガンカフェで働きながら、ヴィーガン料理、概念について学ぶ。現在は日本で、地球にやさしくユニークなプロジェクトを立ち上げ中。趣味は自家製酵母のパン作りと、ヴィーガニックコンポストの土づくり。

美穂さん(@rabbitbook)のInstagramページはこちら