今こそ免疫力を高めて過ごしたい。
野菜の栄養素に注目!

2021.10.12
WRITER/
小島香住

〜日常での食べ方のヒント〜

現代生活を送るうえで、免疫力を高めたいと思う人は少なくないはずです。食事・運動・睡眠など、まず生活習慣を見直すところから始めることが多いですよね。中でも食事は身体づくりへの影響が大きいものです。

今回は、野菜の栄養素に注目して、毎日を健康に過ごせる食べ方のヒントをご紹介します。

免疫力との関りが大きい
7つの栄養素

【 栄養素別 目次 】
1.ビタミンA 2.ビタミンC 3.ビタミンE 4.亜鉛 5.セレン 6.マグネシウム 7.ケルセチン

 

1.ビタミンA

ビタミンA

 

ビタミンAは目や皮膚の粘膜の正常化や、抵抗力を高める働きがあります。薄暗いところでも視力が保たれるのはビタミンAのおかげ。不足すると視力への影響だけでなく、皮膚の乾燥なども起こります。

野菜においては前駆体(※)のβ-カロテンとして存在しており、体内でビタミンAに変換されます。β-カロテン量が600㎍/100g以上含まれていると緑黄色野菜として分類され、野菜からの摂取が期待できる代表的な栄養素です。油と一緒に摂取することで吸収率があがる性質があるので、炒めたり揚げたりと油を使う調理がおすすめです。

ちなみに、「カロテン」の語源は「キャロット」なんですよ。にんじんはカロテンが豊富な野菜だということが覚えやすいですね。

※前駆体=特定の物質が生成される前の段階にある物質を指す。

 

2.ビタミンC

ビタミンC

 

ビタミンCは皮膚や血管の調子を整える作用が有名ですが、不足すると免疫力の低下にもつながります。風邪などで体力が落ちている時は、身体は通常よりもビタミンCを多く必要としているといわれています。また、喫煙習慣のある人もビタミンCの吸収が阻害されるため、非喫煙者よりも多くのビタミンCが必要です。

ビタミンCは水に溶けやすい性質があるので、茹でたり水さらししたりする時間が長いと損失してしまうので注意しましょう。

 

 

3.ビタミンE

ビタミンE

 

ビタミンEは、強い抗酸化作用があり、細胞や血液・脂質の酸化を防ぐことによって老化や動脈硬化・血栓などを予防する効果が期待できます。8種類の化合物からできており、最も作用の大きいα-トコフェロールの量をビタミンE摂取量として捉えます。

ビタミンEは脂質に多く含まれる成分なので、油脂類(植物油脂)や種実類も上手に取り入れながら食べるとよいでしょう。

 

 

ビタミンACE(エース)のおはなし

ここまで紹介したビタミンA・C・Eは、いずれも強い抗酸化作用をもつビタミンで、これらをまとめて「ビタミンACE(エース)」と呼んでいます。

抗酸化作用とは、老化や免疫力の低下につながる活性酸素の働きを抑えこと。人の身体は酸素を利用して効率的にエネルギーを作り出しますが、酸素を燃焼する際に活性酸素を副産物として生成します。

野菜には活性酸素を抑え身体の酸化を防ぐ=「抗酸化作用」をもつビタミンACEやポリフェノールなどが含まれているため、野菜を意識した食事で免疫力を高めていくことができます。

 

 

4.亜鉛

亜鉛

 

亜鉛は酵素を構成する成分のミネラルで、不足すると味覚異常や免疫反応へも影響が出るとされています。亜鉛そのものに抗酸化作用が備わっているわけではありませんが、体内の多くの酵素は亜鉛と関わっているため、不足すると体調不良につながりやすいのです。

亜鉛はたんぱく質と結合しやすく、食品では動物性たんぱく質に多く含まれています。牛乳と組み合わせることで吸収率があがるので、一緒に摂るとよいでしょう。

 

 

5.セレン

セレン

 

セレンには抗酸化作用があるほか、老化の原因物質である過酸化脂質の生成を抑制する酵素をつくりだす働きがあり、ビタミンEを一緒に摂ることで相乗効果が期待できます。不足すると筋力低下や心臓機能の低下などの老化現象を起こすことも。

ビタミンCを再生する酵素の成分でもあるため、ビタミンACEとセレンを同時に摂ることで、より大きな効果が期待できるようになります。

亜鉛と同様に多くはたんぱく質と結合して存在するため、たんぱく質も意識的に摂りましょう。

 

 

6.マグネシウム

マグネシウム

 

マグネシウムは身体のほぼ全ての酵素に関与するミネラルで、生命維持に必要な代謝を担う重要な成分。不足すると不整脈が起こりやすくなるほか、生活習慣病のリスクも高まるといわれています。

野菜以外にも食品全般に広く含まれており、通常の食事をしていれば不足することは少ないですが、過度なストレスでも消費されてしまうため、ストレスを感じている時には意識的に摂るようにするとよいでしょう。

 

 

7.ケルセチン

ケルセチンは、野菜に最も多く存在するポリフェノールの一種であるフラボノイド(※)です。フラボノイドは抗酸化作用のほか、がん細胞の増殖を阻害したり、炎症へ作用したりするなど疫学的な機能があることも分かってきています。その中でもケルセチンは強い抗酸化作用が期待できる成分です。

※フラボノイド=植物の根や茎などに含まれる二次代謝産物の一種

葉付き・青ネギ部分付きと、玉ねぎ

 

たまねぎ、サニーレタス、モロヘイヤ、ケール、アスパラガスなどに豊富で、日本人はたまねぎからの摂取が最も多いとされています。油と一緒に摂取することで吸収率があがる性質があるので、炒めるなど油を使う調理がおすすめです。

 

 

 

栄養素別野菜ランキング
(生/可食部100g当たり)

栄養素別野菜ランキング

※出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
※ケルセチンは、日本食品標準成分表に項目がないためランキングからは除外

 

 

 

おすすめレシピ(献立)は
こちら!

 

主食:玄米豆ごはん

玄米豆ご飯

 

玄米には白米には含まれないビタミンEが含まれるほか、マグネシウムは7倍(※)、亜鉛は1.3倍(※)含まれています。健康なイメージが強い玄米ですが、実はカロリーはほとんど差がなく、これらの栄養素が豊富なことが特徴です。

むきえだまめを加えれば、亜鉛をさらにプラスすることができますよ。

※出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

 

 

主菜:牡蠣のミルク煮

牡蠣のミルク煮

 

亜鉛の豊富な牡蠣をメインに、吸収率アップのため牛乳を組み合わせます。にんじん・たまねぎ・ほうれんそうをバターで炒めたら、牡蠣と牛乳とコンソメを加えて煮込みます。にんじんのβ-カロテン、たまねぎのケルセチンは油との組み合わせで吸収率もあがります。

 

 

副菜1:
パプリカのココナッツオイル炒め

パプリカのココナッツオイル炒め

 

パプリカをココナッツオイルで炒め、塩こしょうで味を整えます。パプリカは1色にする場合には、ビタミンC量の多い赤を選ぶとよいでしょう。ビタミンCは水に流出するので、加熱する場合には茹でるのではなく、炒めるのがおすすめです。

 

 

副菜2:
クレソンとウォールナッツのサラダ

クレソンとウォールナッツのサラダ

 

クレソンにナッツを組み合わせたマグネシウムたっぷりの一品に。ナッツはビタミンEに加えてマグネシウムもしっかり摂ることができる食材です。ドレッシングは使用せずオリーブオイルで軽く和える程度で、クレソンの苦みとナッツの食感が楽しめるサラダに仕上がります。

 

 

ドリンク:グリーンスムージー

グリーンスムージー

 

モロヘイヤ、ケール、グレープフルーツ、りんごをミキサーにかけるだけ。ビタミンA・Eが豊富なモロヘイヤに、セレンが豊富なケール、フルーツのビタミンCを組み合わせた抗酸化力の宝庫ともいえる一杯に。

 

 

見落とされがちな栄養素、
ビタミンD

 

ビタミンDは腸管からのカルシウムの吸収する機能をもち、不足するとカルシウム不足につながり骨の軟化なども引き起こします。

人の皮膚にはビタミンDの前駆体プロビタミンが存在しており、紫外線にあたることでビタミンDを生成します。しかし、外出時には日焼け止めや帽子などでばっちり日焼け対策をしたり、おうち時間が増え日光にあたる時間が減ったりしていると、ビタミンDは食事からの摂取で補う必要があります。

きのこ類、魚介類に多く含まれているので、普段の食事でぜひ気をつけてみましょう。

 

 


 

野菜のチカラで健康な毎日を

 

何かとストレスの多い現代生活。野菜にはそれぞれ大地のパワーを吸収して育ったすばらしい栄養素が詰まっています。食材の組み合わせや、調理法の工夫で野菜のもつチカラをもっと活かすことができるんです。

バランスよく効率よく食べること、そしてほんの少しの前向きな気持ちをもって、毎日を健康に過ごせるとよいですね。

WRITER

小島香住
Kasumi Kojima

野菜ソムリエプロ&管理栄養士。食品メーカーでの営業・商品企画開発・メニュー開発などの勤務を経て、現在は1歳の男の子の育児をしながら、WEBサイトやInstagramで野菜の情報を発信。セミナー講師としても活動している。
「まんぷくベジでは、
野菜や果物のすばらしさをたくさんの方に知ってもらうため、おいしく食べて、キレイで健康に過ごすための情報を発信していきます!」