パリジェンヌの大好物!
アーティチョークのおいしさを活かす
3つのポイント

ようこそ、新顔野菜の部屋へ
vol.7 アーティチョーク<Artichoke>

地中海原産のアーティチョークは、フランスでは初夏の訪れを告げる野菜として親しまれ、おいしい部分を奪い合って食べるほど。馴染みのない日本人には、マラカスのような形をしていて、かたいうろこのようなものに覆われ、どこを食べるのか、どんな味がするのか、未知の野菜ではないでしょうか。
 

今回は、アーティチョークのおいしさを活かすために知っておきたい、3つのポイントをご紹介します。

一度は味わいたい、ほのかな甘みとホクホク食感

アーティチョークの写真

 

うろこで包まれたような見た目のアーティチョーク。ヨーロッパでは一般的によく食べられていますが、日本ではまだまだ馴染みのない野菜で、その名すら知らない人も多いことでしょう。
 

大型のあざみのつぼみを食用とするもので、花が咲く前のわずかな期間しか収穫できないため、旬がとても短いのが特徴です。花が咲いたものは観賞用となり、生花店で取り扱われることも。日本で栽培もされていますが、広大な圃場が必要となることや、需要のほとんどがフレンチレストランなどに限られるため、一般的に見かける機会が少ないのです。


アーティチョークの味は、ゆり根やそら豆のようなほのかな甘みとホクホクした食感。栄養価に関しては、シナリンという成分が含まれていることで注目されています。シナリンは、血中コレステロールや中性脂肪の低下、肝機能の向上などの効果が期待できるとされています。インドやベトナムでは二日酔い対策で、お茶にして飲む習慣もあるのだとか。


ほかには、キク科の植物に多いイヌリンが含まれ、血糖値の上昇を抑える作用があります。また食物繊維は、ごぼうの1.5倍以上※1も含まれ、便通の改善やデトックス効果への期待もできるでしょう。

 

※1:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

 

 

 

旬をおいしく味わうための、
知っておきたい3つのポイント
 

 

<ポイントその1>
食べることができるのは、わずかな部分!?

アーティチョークの断面の写真

 

アーティチョークは、りん片という、うろこのようなものに包まれていて、どの部分を食べるのか分からない方も多いのではないでしょうか。じつは、アーティチョークは食べられる部分がとても少なく、りん片の付け根の部分と、つぼみの中心部のみ。旬の短さと食べる部分の少なさゆえに、希少価値があるといわれています。

 

<下処理のポイント>

りん片の先端にはトゲがついているので、気をつけて調理しましょう。キッチンばさみで切り落としておくと扱いやすいです。
 

切る時は縦切りにしてきれいな層が見えるように。中には花になる部分が詰まっています。ふわふわしたワタのような部分はアクと苦みが強いので取り除いておくと食べやすいでしょう。新鮮なものは茎も食べることができますが、皮が硬いので厚めにむきます。切り口が変色しやすいので、レモン果汁につけるのがおすすめです。鍋で20~30分下茹ですると、独特のホクホク食感に仕上がります。

 

 

 

<ポイントその2>
シンプルな食べ方で旨みを味わう!

アーティチョークの写真

 

加熱したアーティチョークは、りん片を1枚ずつはがし、内側についている部分を歯でしごくようにして食べます。ホクホクしながらも歯ごたえが感じられ、旨みがしっかりしていてやみつきに!
 

メインで食べるのは、中心から茎にかけての部分。心臓部にあるから「ハート」と呼ばれています。何もつけずに食べられますが、オリーブオイルや溶かしバターなどをかけてもおいしいです。

 

ホクホクした食感とほのかな甘み、そしてしっかりした旨みがあるので、味つけは極力シンプルにしておくのがよいでしょう。


 

<アーティチョークのオーブン焼き>

アーティチョークのレシピイラスト

【材料】
アーティチョーク…2個、オリーブオイル…100cc、にんにくみじん切り…2片、塩…大さじ1/2、こしょう…少量


【作り方】
①アーティチョークは下処理のポイントを参考に下茹でしておく。
②オリーブオイル、にんにく、塩、こしょうを混ぜ合わせ、天板に並べたアーティチョークにかける。
③220℃に予熱したオーブンで20~30分焼く。


【ポイント】
下茹でせず、オーブンのみで加熱するときは、アルミホイルをかぶせ40~50分蒸し焼きにします。ハーブソルトなどを使用してもおいしいです。

 

 

<ポイントその3>
長く楽しむにはオイル漬けがおすすめ!

アーティチョークの写真

 

旬が短いアーティチョークは、オイル漬けにしておくと長く楽しむことができます。下茹でしたアーティチョークの水分をしっかりふき取り、にんにく・ローリエと一緒にオリーブオイルで漬け込みます。


サラダやパスタにトッピングするとよいアクセントになりますよ。もちろん、そのままおつまみにてもおいしいです。アーティチョーク自体がはじめての方は、市販のオイル漬けを購入してみるのもよいかもしれませんね。

 

 

 

アーティチョークの香りで初夏の訪れを感じよう


旬が短く、食べられる部分も少ない希少性から、まだまだ知らないことだらけのアーティチョーク。しかし、その独特の食感と旨みは、一度食べたら虜になることでしょう。日本においては栽培量が少なく入手しづらいですが、ネット販売などを活用してみるとよいかもしれませんね。


輸入品の瓶詰であれば、通年購入することもできますので、ぜひ一度味わってみてはいかがでしょうか。

 

イラスト/中川美香

 


 

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WRITER

小島香住
Kasumi Kojima

野菜ソムリエプロ&管理栄養士。食品メーカーでの営業・商品企画開発・メニュー開発などの勤務を経て、現在は1歳の男の子の育児をしながら、WEBサイトやInstagramで野菜の情報を発信。セミナー講師としても活動している。
「まんぷくベジでは、
野菜や果物のすばらしさをたくさんの方に知ってもらうため、おいしく食べて、キレイで健康に過ごすための情報を発信していきます!」