調理の仕方で差が出るってホント!?
効率よく栄養が摂れる6つの野菜と調理法

【野菜を毎日!まんぷくベジ350プロジェクト】

野菜に含まれる栄養素には、調理法によって吸収率が上がったり、作用が変わったりすることがあるのをご存じですか? また、無意識に行なっている野菜の下処理が、実は大事な栄養素を捨ててしまっている場合も。同じ量の野菜を食べるなら、より多くの栄養素が、効率よく摂れた方がうれしいですよね。

今回は、調理法によって栄養価の変わる野菜を6つ、ご紹介します。

トマト

加熱×油の組み合わせで、リコピンの吸収力アップ!

トマトを加熱した料理

 

トマトには、リコピンという成分が含まれていることは広く知られていますよね。リコピンは加熱をすることで、約3倍に吸収率がアップすると言われています。さらに油との相性がよいため、加熱×油の組み合わせにすると、なんと吸収率は約4倍にまでアップするのです。
サラダで食べるだけでなく、炒めものにしたり、スープに入れたりすると、リコピンを効率よく摂取することができるようになります。
また、リコピンには強い抗酸化作用があり、免疫力がアップできて健康維持が期待できます。さらに、肥満予防や美肌効果なども期待できますので、積極的に食べていきたいですね。

 

 

だいこん(ダイコン、大根)

辛味成分は殺菌作用も。生のまま、おろしたてを

大根おろしの写真

 

だいこんは、サラダや煮ものなど、いろいろな料理に使うことができる万能野菜です。
だいこんには、おろした時に生成される、イソチオシアネートという成分があります。大根おろし特有の辛味は、このイソチオシアネートによるもの。揮発性のある成分なので、なるべく食べる直前におろすのがおすすめです。また、加熱すると消失してしまうので、生のまま食べることも大切です。
イソチオシアネートには殺菌作用や消化促進作用があるので、胃腸が疲れているときや、脂っぽいものを食べるときに一緒に摂るとよいでしょう。

 

 

にんじん(ニンジン、人参)

油と一緒なら吸収率が上昇!皮をむかずに味わおう

にんじんを使った料理


緑黄色野菜の代表格であるにんじんは、“キャロット”を語源にもつβ-カロテンが豊富に含まれています。
じつはβ-カロテンは、生のままでは吸収率が悪く、わずか10%ほど。しかし、油と一緒に摂ることで約70%にまでアップするのです。炒めものや揚げ物はもちろん、加熱せず生のまま食べるときでも、ドレッシングやマヨネーズなど油を含むものと組み合わせるのがおすすめ。また、β-カロテンは皮に近い部分の方が多く含まれるので、皮はむかずに食べるといいでしょう。
β-カロテンには、皮膚を健康に保つ作用や、免疫力アップの作用もあるので、健康な生活を送るためには欠かすことができませんね。

 

 

たまねぎ(タマネギ、玉葱、玉ねぎ)

生のまま食すのがベスト!ただし、水にさらすのは避けて

玉ねぎのスライス写真

 

たまねぎは、血液サラサラ効果が期待できるとして知られていますが、これはアリシンという成分の作用によるもの。ほかにも疲労回復や抗酸化作用などもあります。
アリシンは細胞が壊れることで発生するので、薄くスライスしたり、細かく刻んだりするのがおすすめ。また熱に弱いので、生のままで食べるのがベストですが、辛味を飛ばすために水にさらすのは避けましょう。アリシンは水に溶けやすいので、水にさらしてしまうと流出してしまいます。
カットしたあとは5〜10分程度空気に触れさせるようにします。長時間空気に触れさせ続けると揮発してしまうので、注意してください。アリシンはたまねぎのほかにも、長ねぎやにら、にんにくにも含まれます。

 

ごぼう(ゴボウ、牛蒡)

皮はむかず、たわしで軽くこすって汚れを落とす

ごぼうの写真

 

ごぼうは食物繊維が豊富で知られる野菜ですが、じつはポリフェノールも豊富。下処理でアク抜きをしている方も多いかもしれませんが、ポリフェノールのクロロゲン酸が一緒に流れ出てしまうのです。また、ごぼうの皮には、実の倍ものクロロゲン酸が含まれているため、皮をむかないことも重要です。
ごぼうを下処理する時には、たわしなどで土を洗い流します。あまり強く擦ると、皮が削れてしまうので気をつけましょう。
クロロゲン酸には抗酸化作用があるほか、脂肪の蓄積を予防する効果も期待できるので、余さず摂りたいですね。

 

 

しょうが(ショウガ、生姜)

カラダを温めたいときは加熱して、冷やしたいときは、生のままで

しょうがの写真

 

しょうがは、カラダを温める作用があることで知られていますよね。
生のしょうがには、ジンゲロールという辛味成分が存在し、加熱することでショウガオールという成分へと変化します。ジンゲロールには解熱作用があり、体内の熱を放出します。つまりカラダを冷やす作用があるのです。ところが、加熱して変化したショウガオールは血流をよくする作用があるので、カラダを内側から温めることができるのです。
冷え性などでカラダを温めたいときには、しょうがは加熱してから食べるようにしましょう。すりおろしたものを温かい飲みものに入れてもOKです。逆に、熱ったカラダを冷ましたいときには、生のまま食べるのがいいですね。
また、ジンゲロールは皮に多く含まれるので、皮はむかずに一緒に使うのもポイントです。

 

 

調理の仕方を工夫すれば、野菜の栄養効果は変わってくる!

野菜を意識的に食べようとする目的は、若々しく健康的な生活を送るため。何気なく行なっている普段の下処理が、野菜の栄養素を損なってしまっている場合もあるのです。食べる量が意識できていても、栄養素が損なわれてしまっていてはもったいないですよね。

ぜひ、調理法にも気をつけて、栄養素を効率よく、最大限に摂れるようにしていきましょう。

WRITER

小島香住
Kasumi Kojima

野菜ソムリエプロ&管理栄養士。食品メーカーでの営業・商品企画開発・メニュー開発などの勤務を経て、現在は1歳の男の子の育児をしながら、WEBサイトやInstagramで野菜の情報を発信。セミナー講師としても活動している。
「まんぷくベジでは、
野菜や果物のすばらしさをたくさんの方に知ってもらうため、おいしく食べて、キレイで健康に過ごすための情報を発信していきます!」