立春(りっしゅん)となばな・菜の花
[2024年2月4日]二十四節気

WRITER/坂田芽唯

日本の暦と旬の野菜-春

2024年2月4日は、立春。暦上は、この日が春の始まりです。
禅宗のお寺では、昔から「立春大吉」と書かれたお札を貼って、厄払いをしました。

寒さがまだ厳しく、春は先のように感じますよね。しかし、周りを見渡してみると、少しずつ春の足音が近づいていることに気がつきます。

たとえば、かわらしいふきのとうの芽が雪の中からのぞいたり、梅の蕾(つぼみ)が小さく芽吹いたり。
身近な植物も、こっそり新芽を出しているかもしれません。

少し意識して外を歩いてみると、きっと心が温まるような発見がありますよ。
 

※二十四節気とは、1年を春夏秋冬の4つに分け、そこからさらに6つに分けた、約15日間の季節を表す言葉。現在は最初の日だけを指すことが一般的ですが、本来はこの15日間を表します。

※日本の暦は、旧暦(太陰太陽暦の暦法「天保暦(てんぽうれき)」)から、1872年にグレゴリオ暦(太陽暦)が採用され、新暦と呼ばれます。特別な表記がない場合を除き、日付は新暦です。

※二十四節気の日付は毎年異なり、1日程度前後します。

立春の時期に行う、針供養とは

この立春の頃、2月8日には、針供養が行われます。
針供養は、使えなくなった針を供養することで、裁縫が上達することを願う行事です。

現在は、衣類の大量生産が可能になったことで、家庭で縫い物をする機会は多くありません。しかし、昔は、ひとつひとつの着物を手縫いしていました。そのため、針は、衣食住のために重要な道具だったのです。

「働いてくれた針に感謝し、休んでもらおう」

そんな昔の人々の思いから、この行事は生まれました。この供養の日には、折れたり、錆びてしまった針を、豆腐やこんにゃくのような、やわらかいものにさします。そうすることで、働いてくれた針に感謝をあらわしました。また、同時に「お裁縫が上手になるように」という、祈りがこめられています。

ものとの別れ方にも、思いやりを込めた昔の人々。
その和の心には、私たちも、見習うべきものがありますね。

 

ビタミンC含有量がトップクラスの「なばな」

立春_なばな

 

この立春の頃に旬を迎える、春らしい野菜があります。それは、なばなです。

なばなは、菜の花のつぼみ、花茎、若葉のこと。菜の花といえば、鮮やかな黄色の花を咲かせる、春の象徴ですよね。

味としては、少しの苦味と、茎のしっかりとした食感が特徴的。
実はこのなばなは、ビタミンCが非常に豊富な野菜です。
100gあたりの含有量を、身近な野菜や果物と比較しました。

立春_ビタミンc
ビタミンCの含有量(100gあたり) 

ビタミンCの含有量は、キャベツ・きゅうりのような野菜と比較しても、非常に豊富であることがわかります。
さらに、驚くべきことに、りんごやレモンのような果物よりも、ビタミンCを多く含んでいるのです!
この量は、野菜の中でもトップクラスのビタミンCの含有量です。

ビタミンCは、コラーゲンを生成するのに必要な栄養素です。そのため、肌の健康を維持するためには欠かせません。

また、ビタミンCは、植物性食品からの鉄分の吸収を促す働きがあります。
この結果、免疫系がうまく機能するのを助けてくれ、かぜをひきにくくしてくれますよ。

 

<おすすめの食べ方>

・あさりとなばなのお吸い物
春の食材をつかって、おだしの効いたお吸い物はいかがですか?
あさりは、豊富な鉄分を含む食材。
菜の花のビタミンCは、鉄分の吸収を促進してくれるので、貧血予防にも役立ちます。

・きのことなばなのバター炒め
なばなの苦味と、濃厚なバターがよく合います。
なばなは、実は、カルシウムも豊富な食材。

きのこのビタミンDは、カルシウムの吸収を助けてくれます。なばなときのこは、味はもちろん、栄養学的にも、相性がいい組み合わせです。

<そのほかの旬の野菜>

立春の頃に旬を迎える野菜には、次のような野菜があります。

  • 芽キャベツ
  • はくさい
  • せり
  • 葉ごぼう

 

実は、レモンの旬は冬〜初春!

立春_レモン

 

立春の頃、旬である果物の一つが、レモンです。
現代では、通年出回っているため、夏のイメージがあるかもしれませんね。しかし、もともとの旬は冬〜初春です。

時期でなかったり、出荷してすぐだったりするものの中には、完全に熟していない「グリーンレモン」を見かけることもあります。その名の通り、これは緑のレモンです。味に大きな違いはありません。レモンの旬ではない、秋ごろに特に多く見かけることができますよ。


 

寒さの中で迎える春の訪れ、立春。

この頃に旬を迎えるなばなは、春をそのまま味わえるうえ、栄養価が高い食材です。
免疫力をあげて、もう少しの寒さを乗り切ってくださいね。
 

WRITER

坂田芽唯
Mei Sakata

管理栄養士。栄養・レシピ・ヴィーガンなど、食に関する記事をWEBコンテンツで執筆。その他、カフェのメニュー開発、料理動画制作などをして活動。これまでは給食提供のほか、離乳食指導や食育指導に従事。幼少期から茶道を習っており、日本文化が好き。こども食堂を開くのが夢!