砂漠化を救う救世主!アイスプラントの
おいしさを活かす3つのポイント

ようこそ、新顔野菜の部屋へ
vol.10 アイスプラント<Ice plant>

葉の表面に水滴のような粒がついているアイスプラント。多肉植物のようなフォルムで、鮮やかな緑色をしています。売り場で見かけることはあっても、実際に買って食べたという経験をもつ人は少ないかもしれません。今回は、アイスプラントのおいしさを活かすために知っておきたい、3つのポイントをご紹介します。

もともとは塩害対策で日本に持ち込まれたものだった!?

アイスプラントの画像

 

アイスプラントは南アフリカのナミブ砂漠が原産。表面についている水滴のような粒は「ブラッター細胞」というもので、根から吸い上げた養分を隔離するためのものです。土壌中に含まれる塩分を葉の表面に隔離することができるので、砂漠のような土地でも育つことができます。


食べるとプチプチとしていて、ほんのり塩味を感じるアイスプラントは、ヨーロッパでは古くから食べる習慣があり、フランス料理でもよく使われます。


そんなアイスプラントが日本にやってきたのは、有明海沿岸の干拓地の塩害対策として佐賀大学が国内へ持ち込んだことがきっかけ。(※1) その後、佐賀県の特産物として市場出荷されるようになり、最近では全国に栽培が広がっています。「バラフ」や「プッチーナ」などの商品名で流通しているものもあるので、名前を聞いたことがあるかもしれません。水耕栽培が主流なため、農薬を使わないことや、年間通して出回ることなども特徴です。


アイスプラントには、ビタミン様成分のミオイノシトールが含まれることが特徴。肝機能を高める作用があるため、動脈硬化や肝硬変を防ぐ効果が期待できます。また、表面の粒にはミネラルが含まれていて、カリウムやマグネシウムなども豊富です。

 

※1:国立大学法人佐賀大学ホームページ:https://www.suric.saga-u.ac.jp/chizai_tech/brand-barafu.html

 

 

 

旬をおいしく味わうための、知っておきたい3つのポイント

 

<ポイントその1>
シンプルなサラダが食感と風味を楽しみやすい

アイスプラント


アイスプラント特有の粒感を楽しむには、まずはシンプルなサラダがおすすめ。茎が太いものは葉をちぎり、茎は食べやすい大きさに切りましょう。ざく切りにしたトマトと合わせると、アイスプラントの塩味でトマトの甘さが引き立ちますし、色のコントラストがとてもきれいです。
 

ほんのり塩味がついていることを考慮し、ドレッシングも極力シンプルに。メイン料理の付け合わせに添えるのもよいですね。

 

 

<ポイントその2>
アレンジ料理はハーブ使いを意識して


単体でも風味のあるアイスプラントは、クセのないハーブのような感覚で使うことができます。まだ暑さの残る時期には、フルーツを加えた冷製パスタに入れてみるとよいでしょう。フルーツを料理に取り入れるのはハードルが高く、さらに主張の強いハーブは組み合わせがむずかしい場合でも、アイスプラントなら調和しやすいのです。

 

 

ブドウとアイスプラントのカッペリーニ

 

アイスプラントを使った料理のイラスト


【材料】カッペリーニ…100g、ブドウ(シャインマスカットやピオーネなど種無しのもの)…10粒、トマト…1個、紫たまねぎ…1/6個、生ハム…30g、アイスプラント…50g、★オリーブオイル…大さじ1、★レモン果汁…大さじ1、★バルサミコ酢…大さじ1、★おろしにんにく…小さじ1/2、★塩こしょう…少量

 

【作り方】
ブドウは1/4にカット、トマトは2cmの角切り、紫たまねぎは薄切りにする。
ボウルに★を混ぜ合わせ、1とちぎったアイスプラントを加えて和える。
カッペリーニは表示通りに茹で、氷水でしめる。
④②
にカッペリーニを加えて合わせたら、お皿に盛り付ける。

 

【ひとことアドバイス】
・ブドウは皮ごと食べられる品種がおすすめですが、気になる場合はむいてください。
・スパゲッティーニやフジッリでも作ることができます。
・トマトはミニトマトでもOKです。

 

 

 

<ポイントその3>
加熱するなら、サッと揚がる天ぷらに

アイスプラントの天ぷら


アイスプラントは加熱すると、少しとろっとした食感になり、葉の表面の粒は溶けてしまいます。加熱する時には、サッと火を入れるのがポイント。衣をつけた天ぷらなら、食感や塩味を損ないにくいです。アイスプラント自体の塩味があるので、天つゆ要らずなのもおもしろいですよ。おひたしなどにもできますが、食感が変わってしまうのでご注意ください。

 

 

何にでも入れてみたくなる食感と塩味

 

サラダや天ぷらなどのようにメインで食べるだけでなく、ポテトサラダや納豆に加えてみたり、サンドイッチにしてみたりと、いろいろな料理に入れてみたくなる不思議さが魅力。鮮やかな緑色が加わると料理が華やかになりますし、ほんのり塩味が感じられて食感も楽しめますよ。

洋食に限らず、和食や中華料理にも合わせやすいので、ぜひお気に入りの組み合わせを見つけてみてくださいね。

 

イラスト/中川美香

 


 

ようこそ新顔野菜の部屋へ
おしゃれ系から伝統モノまで! ようこそ、新顔野菜の部屋へ

WRITER

小島香住
Kasumi Kojima

野菜ソムリエプロ&管理栄養士。食品メーカーでの営業・商品企画開発・メニュー開発などの勤務を経て、現在は1歳の男の子の育児をしながら、WEBサイトやInstagramで野菜の情報を発信。セミナー講師としても活動している。
「まんぷくベジでは、
野菜や果物のすばらしさをたくさんの方に知ってもらうため、おいしく食べて、キレイで健康に過ごすための情報を発信していきます!」