紫がかったキャベツやブロッコリー、食物繊維を摂るための野菜摂取など…。知っておくとおいしさも増す、2月のお野菜トーク

まんぷくベジ座談会 〜2月編〜
【野菜を毎日!まんぷくベジ350プロジェクト】

野菜好きが集まる、まんぷくベジ編集部。「最近、お店で〇〇が並びはじめたよね」「今って、どんな野菜に注目してる?」など、野菜談義は尽きません。そこで、野菜ソムリエで管理栄養士でもある小島香住さんを交えて、編集部メンバーがどんなトークをしているのか、毎月ご紹介。

2月になって、一段と寒さが増してきましたが、野菜売り場にも変化が出てきましたね。そして先日、ブロッコリーが指定野菜に追加されることも話題に。そこで今回は、寒い時期のお野菜事情から、みんなが気になる食物繊維について語ってみました。

<座談会参加者>

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小島香住さん
野菜ソムリエプロ&管理栄養士。食品メーカーでの営業・商品企画開発・メニュー開発などの勤務を経て、現在は2歳の男の子の育児をしながら、WEBサイトやInstagramで野菜の情報を発信。セミナー講師としても活動している。「まんぷくベジ」メンバー。
 
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スタッフ3名
あり、くりた、あじさん。「野菜350g」をまんぷくベジも提唱します!でも、実際に何に気をつければいいのかなど、疑問だらけ……。
 



 

食物繊維不足の解消には、バランスのよい野菜摂取と白米を

洗いごぼう

 

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くりた
 
新ごぼうが出回り始めましたね。私、ごぼうを見るといつも「そうだ食物繊維!」って反射的に考えちゃうんですよね。香りや食感も好きなんだけど、機能のほうが先に浮かんじゃいます。
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あり
 
野菜って、「食べないと食物繊維不足になる」というイメージがありますが、私自身、食物繊維についていまいちわかっていないかも…。実際に、食物繊維はどう体にいいのですか?
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小島さん
食物繊維には、「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」の2種類があります。不溶性食物繊維は水に溶けにくい繊維質で、便のカサを増やしたり、ふわふわにすることで、便が出やすくなるんです。
 
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小島さん
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あり
 
不溶性の食物繊維のおかげで、便の状態をよくなるんですね!                         
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小島さん
もう一つの水溶性食物繊維は、おもにネバネバ成分。たとえば、めかぶやとろろのネバネバがそうです。あとは、りんごに含まれているペクチンも。りんごジャムは、ペクチンがあることでどろっと仕上がるんです。このネバネバ成分の粘性によって、栄養分の吸収をゆるやかにしてくれて、さらに血糖値が急激に上昇するのも防いでくれるんです。
 
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小島さん
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あじさん
 
厚生労働省が定めている「日本人の食事摂取基準」では、1日の摂取目標量は男性で21g以上、女性で18g以上とされているようですが、日本人は足りてないと言われていますよね。私たちは350gのお野菜を目標に食べていますが、食物繊維もそれに含まれているということですか?
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小島さん
野菜を350g摂取できていて、さらに、バランスよく食べられていれば、食物繊維もこのぐらい摂れているだろうという、推測値なんですよ。
 
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小島さん
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あり
 
食物繊維不足にならないために、具体的にどんな野菜を食べるといいんでしょうか。       
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くりた
 
先日私が、大腸の検査をしたときに、検査前には控えてくださいと言われていたのは、ごぼう、さつまいも、かぼちゃ、ふき、トマト、こんにゃく、きのこ類、海藻類などでしたよ。あとは、果物はキウイやいちごも。これらは繊維が多くて、検査に支障が出やすいということでした。逆にいうと普段は、積極的に摂りたい野菜や果物ということですよね(笑)。
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あり
 
そうすると、食事には必ず、水溶性と不溶性の食物繊維が入っているものを食べるのがいいんでしょうか。
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小島さん
食物繊維は、野菜だけじゃなくて、白米など他の食品にも入っているんですよ。それと、食物繊維をもつ食品には、水溶性と不溶性の両方が含まれていて、その量や比率が違うんです。ただ、バランスがよく含まれているのが、ごぼうやバナナですね。
 
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小島さん

 

バナナ

 

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あじさん
 
なるほど。野菜を1日で350g食べて、それをバランスよく摂ることで、自然と食物繊維も摂れるということですね!
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小島さん
よく、糖質オフダイエットで白米を抜く人がいますが、白米を抜くから、食物繊維が不足してしまうというのもあるんです。白米は炭水化物ですが、炭水化物が分解されると糖質と食物繊維になります。白米を抜くと、糖質をオフにすることはできますが、同時に食物繊維不足にもなってしまいます。そうすると、便秘がちになったり、それによって肌荒れが起こってしまったり、健康的になれないということもあるんです。
 
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小島さん
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くりた
 
私たちは、どうしてもカロリーばかり気にしちゃって、大切な部分があまり見えてないのかもしれないですね。
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小島さん
食品の裏の表示を見ると、一番上にエネルギー量(カロリー)が表示されていますよね。その下にはたんぱく質、脂質、炭水化物と続き、炭水化物から一段下がって、糖質、糖類、食物繊維と表示されているんです。みなさん、どうしてもカロリーばかり気にされますが、食物繊維の量もチェックしてみると、どんな食品にどのぐらいの食物繊維が含まれているかがわかりますよ。
 
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小島さん

 

 

キャベツやブロッコリーは、一部が紫色になっているものが狙い目!

新鮮なブロッコリー

 

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小島さん
私、野菜を選んでいるときに、キャベツやブロッコリーが紫がかっているのを見ると、たまらなく愛しくなるんですよ!この紫色のサインは、「私、おいしいのよーー!」って、野菜たちが訴えている状態なんです。だから、すかさず買いますね。寒さで紫色になっているのですが、アントシアニンの量を増やすことで、自身の身を守っているんです。そうすると、甘みがギュッと詰まって、本当においしいんです。夏には絶対に見られない色ですよね。
 
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小島さん
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くりた
 
へ~、そうなんですね!!たしかに、キャベツも外側の葉っぱが紫がかっているいるものがありますよね。寒さにかじかんだあげく、おいしくなっちゃったわけですね。次に出合ったら、絶対にそれを買います。
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あり
 
紫色になっている外側も食べられますか?                              

 

葉が紫になっているキャベツ

 

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小島さん
紫に変色した部分も食べられますよ。冷気に触れていた部分だけが色が変わるんですが、中まで全体的に甘みが増しています。ほうれんそうや小松菜は、ちぢむことで同じような現象が起こっているんです。
 
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小島さん

 

 

ほうれんそうは、大きな鍋で踊らせるように茹でるべし!

ほうれんそう

 

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くりた
 
先日、ブロッコリーが指定野菜に加わりましたね!                      
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小島さん
そうなんです。じゃがいも以来、およそ半世紀ぶりなんですよ。ブロッコリーの位置付けが変わるビッグニュースです!指定野菜とは、消費量が多くて、国民生活上で需要性が高いと位置付ける国の制度で、この野菜を栽培する農家さんは、価格が下落した時にも補助金が手厚く受けられて、これが野菜の価格安定にもつながるんです。
 
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小島さん
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あり
 
ブロッコリー、我が家の食卓にかなりの頻度で上がるので、本当にありがたい!                 
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くりた
 
指定野菜といえば、今が旬のほうれんそうもそのひとつですね。じつは、ほうれんそうの食べ方で、密かな願望があって(笑)。束で買うと、根元の内側にほうれんそうの赤ちゃんがいるんですよ!これを、茎や葉っぱとは別で食べたいんです。卵に溶いて入れて、ほうれんそうオムレツなんかもいいですよね。
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あり
 
わかります!私は、白菜の真ん中に残る、小さな白菜がかわいいな?なんて思いながら調理しています。   
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くりた
 
白菜の葉をはいでいくと、チコリみたいな子が現れますよね!                         
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小島さん
ほうれんそうも、すごくこだわりのある料理人さんの中には、茎と葉っぱを別々に調理したり、別の料理に使ったりと、極めている方もいますよね。
 
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小島さん

 

ほうれんそうのおひたし

 

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あじさん
 
定番のほうれんそうも、実は奥深いんですね~。                                   
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あり
 
ほうれんそうを茹でる時のコツってありますか?私、いつも茹で具合で悩んでしまって…。      
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小島さん
たっぷりのお湯を沸騰させて、茎部分を入れて30秒、その後に葉っぱまで入れて10秒。これでOKです。このとき、一気に茹でるのではなくて、1~2株ずつ茹でるのがポイント。お湯の量も、しゃぶしゃぶするような感覚で、ほうれんそうが自由にお湯の中で動き回るぐらいが理想です。鍋は、縦長のものよりも、面が広い方がおすすめで、フライパンでもいいんですよ。
 
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小島さん

 


ほうれんそうのおひたし

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寒いこの時期は、葉物野菜がますますおいしくなりますよね。選び方のポイントや、下処理のコツを知ることで、野菜をもっとおいしく、効率的に食べることができそうです。そして、1日350gの野菜をバランスよく摂取することは、食物繊維不足の解消にも。ぜひ、毎日の野菜ライフに取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

 

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WRITER

内田あり
Ari Uchida

フリーランスの編集ライター。食・子育て・住宅・インテリア・植物・ガジェットなど多岐にわたるジャンルで、ムックや雑誌、フリーペーパー、WEBコンテンツなどで執筆。高校生と中学生の2人の娘をもつ母であり、子どもたちの野菜嫌いを克服させるべく、献立に頭を悩ませる日々。野菜不足になりがちなので、毎日の食卓には手作りのピクルスを添えるよう心がけている。