【野菜洗いのキホン 水洗い編】
美味しく食すために、
知っておくべき野菜洗いのコツ

大きな桶にたっぷりの水をはり、新鮮な野菜を入れてじゃぶじゃぶ洗う。昔ながらの野菜洗いは、形は多少変わりつつも、今でも家庭内で受け継がれています。でも、多種多様な野菜を使うようになった現代は、野菜ごとにちょっとした洗い方のコツがあったり、人によって考え方もさまざま。まずは、お野菜1年生が覚えておきたい、野菜の基本的な洗い方をご紹介しましょう。

 

<野菜洗い3つのキホン>

・野菜を洗うとは、土や汚れを落とすことと心得る

・ビタミンCなどの栄養素を保持するため、水につけるのは10分以内

・野菜ごとの洗い方を知る

トマトやきゅうりなどの果菜類は、流水でしっかり

流水を浴びるトマトときゅうり

 

基本的に野菜を洗うときには、ボウルや桶に水をたっぷりとため、その中に野菜をつけておき、流水で一つずつ洗います。野菜を洗うのは、表面についた土や泥、汚れやほこりのほか、虫や農薬などを洗い流すことが目的。また、野菜は流通過程において多くの人の手を介していることもあり、洗ってから使うのが安心です。

トマトやきゅうり、なす、ピーマンなど果菜類と呼ばれる表面がツルッとした野菜は、水洗いもしやすいですよね。また、生食で食べることも多い食材なので、流水洗いをしっかり行いましょう。流水で全体のホコリや汚れが取れたら、ヘタやイボなど汚れが落ちにくいところを重点的に洗えばOKです。

 

 

葉物野菜はたっぷりの水でじゃぶじゃぶと

たっぷりの水で洗っている葉物野菜

 

葉物野菜は、ボウルに水をたっぷり目にため、少し水につけておいたり、水の中でじゃぶじゃぶと洗うのが基本です。水が土で汚れたら一度かえて、最後にじゃぶじゃぶっと洗えばOK。

 

<ほうれんそう・こまつな・水菜>

ほうれんそうやこまつななどの葉物野菜は、葉っぱや根元についた土を落とすように洗います。ボウルに水をため、根元が水にしっかりつかるように野菜を立てた状態で10分ほど置きます。こうすることで、根元の土が落ちやすくなります。もう一度水をかえて、今度は上下に振るようにじゃぶじゃぶと。葉っぱも水の中に入れて、左右に振るように洗いましょう。根元の土が気になるようなら、茎の間を広げるようにして流水を当てて洗えば、土がよく取れます。

 

<はくさい・レタス・キャベツ>

葉っぱが重なり合っている、レタスやキャベツなどの葉物野菜は、使う分だけ一枚ずつはがして、流水で丁寧に洗います。レタスなどは氷水に少しつけておくと、葉がシャキッとします。はくさいの場合は、外の葉に農薬が残りやすいので、外側の葉一枚は捨てましょう。ビタミンCやカリウムなど水溶性の栄養素は、長く水につけると失われてしまうので、冷水につけるのは10分ぐらいまでに。

 

<ブロッコリー・カリフラワー>

ブロッコリーやカリフラワーは形状がデコボコしていて、とくに汚れが落ちにくい野菜。小房に分けてから、たっぷりの水にしばらくつけておきます。最後に流水に当てながら、ボウルの中の水でブロッコリーを振るうようにしっかり洗います。

 

 

根菜類はたわしやブラシで土をしっかり落とす!

しっかり洗って土を落としたジャガイモ

 

根菜類は、くぼみの部分に泥や汚れが溜まりやすいので、野菜専用のたわしやブラシを使って流水で1つずつ丁寧に洗います。

 

<じゃがいも>

じゃがいもは、たわしなどで洗うといいでしょう。とくに皮も一緒にいただく場合は、より丁寧に土を落としましょう。

 

<にんじん>

にんじんは手を使って一本ずつ、流水で洗うようにしましょう。

 

<さつまいも>

スーパーに並んでいるさつまいもは、すでに土が落とされている場合も多いので、表面を傷つけない程度に手で水洗いすればOK。くぼみに土が詰まっている場合は、たわしなどで優しく取り除きます。

 

<ごぼう>

ごぼうの場合は、白くむけるまでたわしなどで強くこすり過ぎてしまうと、風味や旨みが損なわれてしまいます。たわしで軽めに、土を落とす程度に洗います。

 

<さといも>

泥つきのさといもは、しばらく水に浸しておきます。こうすると、泥が落としやすくなります。たわしでよく泥を落とし、ザルにあげて半乾きにしてから皮むきをすると、むきやすく、手もかゆくなりません。

 

<ながいも>

10分ほど水に浸してから、水で洗います。

 

 

 

きのこ類は“洗わない”が基本!

ざるに盛られたきのこ


 

きのこ類は、水で洗わないのが基本です。水気を吸ってしまうと、味や風味が落ちてしまうのです。泥汚れなどが気になる場合は、ぬらしたふきんやキッチンペーパーなどで表面をこすって汚れを落とすといいでしょう。

 

<なめこ>

きのこ類の中でも、なめこだけは扱いが違ってきます。袋から出したら水でさっと洗うか、熱湯で1分ほど茹で、水気を切って使います。なめこは、できるだけ買ってきた当日に調理するようにしましょう。

 

 

発芽野菜は根っこを持ち、水の中で振って洗う!

瑞々しいスプラウト

 

発芽野菜とは、ブロッコリースプラウトやかいわれ大根、豆苗、もやしなどを指します。スポンジについて販売されているものが多いでしょう。丸ごと使う場合は、スポンジ部分や根元を手で持って、水をはったボウルの中に葉の部分を入れて左右に振って洗います。少量を使う場合も、使う量だけ切って、根元あたりを持って同じように洗いましょう。

 

<もやし>

もやしは買ったばかりでも、必ず一度洗って使いましょう。古くなるほど雑菌が繁殖しやすくなるので、必ず洗ってから使うと安心です。ボウルにたっぷり水をはって、もやしを入れ、手で振るようにして洗い、ザルにあげて水気を切ります。水に長くつけすぎるとビタミンCが失われるので、サッと洗うように。もやしは買ったその日に調理するのがベストです。

 

 

 

「野菜を洗う」と一言でいっても、洗い方は野菜の種類によってさまざま。きのこのように洗わない方がいい野菜や、長く水につけてしまうと大切な栄養素が失われてしまうものもあります。野菜を美味しく安全にいただくためには、基本的な野菜の洗い方をぜひ知っておきましょう。

次回は、今注目の野菜洗い専用の洗剤や便利な道具について、洗剤・道具編でご紹介します。

 

参考文献:
渡邊香春子著『料理の常識』(講談社の実用BOOK)/
『もっとからだに美味しい 野菜の便利帳』(高橋書店)

WRITER

内田あり
Ari Uchida

フリーランスの編集ライター。食・子育て・住宅・インテリア・植物・ガジェットなど多岐にわたるジャンルで、ムックや雑誌、フリーペーパー、WEBコンテンツなどで執筆。高校生と中学生の2人の娘をもつ母であり、子どもたちの野菜嫌いを克服させるべく、献立に頭を悩ませる日々。野菜不足になりがちなので、毎日の食卓には手作りのピクルスを添えるよう心がけている。