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vol.20 マクワウリ<Oriental melon>
vol.20 マクワウリ<Oriental melon>
夏になるときゅうりやとうがんなど、ウリ系の野菜が多く出回るようになりますね。今回ご紹介するマクワウリもそのひとつ。でも、その正体は野菜?果物? そこで、マクワウリの正体と、おいしさを活かすために知っておきたい、3つのポイントをご紹介します。
夏の風物詩から伝統野菜へ
マクワウリは縄文時代にはすでに食べられていたとされていて、古来より日本で穫れる作物として、ウリと言えばマクワウリのことを指していました。漢字では「真桑瓜」と書き、美濃国真桑村(現在の岐阜県)で栽培されていたことからその名がつきました。
メロンと同じウリ科のキュウリ属で、メロンよりも古くから栽培されているため、メロンの原型と言われています。おなじみのプリンスメロンやキンショウメロンは、マクワウリの交配で生まれたんですよ。
そこからの交配でさまざまな品種が生まれ、甘味や香りのしっかりしたメロンが登場しました。それによって、マクワウリの栽培数が減り、希少なものとなってしまったのです。
栽培数が減った近年でも、お盆のお供えものにすることもあり、お盆の風習が残る地域では夏になるとスーパーに並びます。かつては夏の風物詩とも言われたマクワウリは、伝統野菜として今でも大切に育てられています。
栄養面では、ウリ系の特徴でもあるカリウムが豊富に含まれています。また、ビタミンCも豊富でみかんに匹敵するほど。夏のむくみ対策や、紫外線対策にうれしい野菜ですね。
旬をおいしく味わうための、知っておきたい3つのポイント
<ポイントその1>
ほんのり香りが出たら食べ頃
メロンの原種でもあるマクワウリは、さっぱりとした甘味が特徴です。店頭に並ぶものは未熟なことが多いので、常温で追熟させるようにしましょう。
おしりの方が少しやわらかくなり、香りが出はじめたら完熟のサイン。すぐに食べない場合は、冷蔵庫に入れ追熟を止めておきます。冷やしすぎると甘さを感じにくいので、食べる30分くらい前には室温に置いておくとよいでしょう。
<ポイントその2>
品種ごとの見た目や香りの違いを
マクワウリは品種が多いのも特徴のひとつ。皮の色が黄色でツルンとしたものもあれば、緑色のものもあり、スイカのように縞模様があるものもあります。身の色も、白いものから薄緑色のものまであり、甘さや香りも品種によってさまざまです。とくに甘い品種では、糖度は13度ほどになるものもあり、メロンと変わらない甘さを感じられることも。韓国フルーツで人気の「チャメ」もマクワウリの一種で、甘味がとてもしっかりした品種です。
見た目の違いを眺めるだけでも楽しいですし、味くらべをして好きな品種を探してみるのもおもしろいですよね。
<ポイントその3>
野菜使いとフルーツ使いの二刀流
マクワウリの甘味はさっぱりとしているので、サラダやマリネにして野菜使いにするのはもちろん、甘味を活かしてフルーツ使いするのもおすすめです。淡い色を活かしてコンポートにしたり、シャーベットにしたりすると、夏に最適なさっぱりスイーツができますよ。
メロンを生ハムに巻く生ハムメロンは、甘味と塩味のコントラストを味わう食べかたとして有名ですが、少し抵抗がある方も多いようです。このレシピをマクワウリでアレンジすると、甘味が控えめなのと、食感もあるので、お酒のおつまみにぴったり。火を使わず簡単に作れるのも、暑い時期にうれしいポイントです。
<マクワウリの生ハム巻き>
【材料】
マクワウリ…1個、生ハム…6枚、オリーブオイル…適量、ハーブソルト…適量
【作り方】
①マクワウリは皮をむいて種を取り、縦に6等分にする。
②生ハムを巻き、お皿に並べる。
③オリーブオイルをかけ、ハーブソルトをふる。
【ひとことアドバイス】
・ハーブソルトは、塩こしょうに置き換えてもOKです。
・カッテージチーズをのせるのもおすすめです。
今年の夏は、日本の風物詩を食卓に
かつては日本の夏の風物詩として欠かせないものだったマクワウリ。最近では、伝統野菜として栽培されるほど希少なものになってしまいました。さっぱりとした甘味とほどよい食感が楽しめて、サラダにもスイーツにも使い勝手がよいため、以前のように身近な食材になる日が再来するかもしれませんね。
今年はマクワウリで涼をとりながら、夏を楽しんでみるのはいかがでしょうか。
イラスト/中川美香
WRITER
野菜ソムリエプロ&管理栄養士。食品メーカーでの営業・商品企画開発・メニュー開発などの勤務を経て、現在は1歳の男の子の育児をしながら、WEBサイトやInstagramで野菜の情報を発信。セミナー講師としても活動している。
「まんぷくベジでは、野菜や果物のすばらしさをたくさんの方に知ってもらうため、おいしく食べて、キレイで健康に過ごすための情報を発信していきます!」
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