調理法を選ばない万能野菜、コールラビ
おいしさを活かす3つのポイント

ようこそ、新顔野菜の部屋へ
vol.4 コールラビ<Kohlrabi>

ずんぐりとした丸い身体から、細長い手のようなものが伸び、まるで宇宙人のような見た目のコールラビ。ドイツ語でコール[Kohl]はキャベツ、ラビ[rabi]はかぶという意味です。キャベツと同じアブラナ科で、かぶのように丸い形をしていることから名づけられたようです。

 

丸く肥大している部分は、じつは“茎”。かぶのように生でも、もちろん加熱してもおいしく食べられます。コールラビは調理法の幅が広く、さまざまな料理にアレンジして楽しむことができる、まさに万能野菜です。今回は、コールラビのおいしさを活かすために知っておきたい、3つのポイントをご紹介しましょう。

食感はブロッコリーの茎のよう!
生でも、炒めても煮てもおいしい

コールラビの写真


名前の由来はドイツ語ですが、原産は地中海沿岸地方。和名では「球茎甘藍(きゅうけいかんらん)」や「蕪甘藍(かぶかんらん)」と呼ばれ、英名と同じく、見た目そのままが名前となっています。

※甘藍とは、キャベツの和名です。

ヨーロッパでは一般的なヨーロッパ種と、中国で食べられている中国種があり、日本で見られるものは多くがヨーロッパ種。食感に差があり、ヨーロッパ種の方がやわらかいとされています。

キャベツでもかぶでもなく、どちらかというとブロッコリーの茎のような味わい。クセやアクがないので、生でもサクサクした食感を楽しむことができます。炒めものにすればコリっとした食感になり、煮込めばホクホクの食感を味わえるのも魅力。使い勝手はかぶに近い感覚でしょう。

 

 

 

食べる胃腸薬、ビタミンUも含まれて、
加熱しても栄養素が失われにくい!

 

栄養面では、ビタミンUが含まれているのが特徴的ですね。ビタミンUは別名“キャベジン”と呼ばれ、キャベツから発見されたビタミン様物質。ビタミンに分類はされませんが、ビタミンのような働きをする物質です。胃腸薬の商品名にもなっているとおり、胃や腸の働きを助ける機能をもっています。

そのほか、ビタミンCやカリウム、葉酸が豊富です。これらの栄養素は一般的には加熱に弱い性質をもっていますが、コールラビに含まれるものは加熱しても損失しにくいのが特徴です。

 

                        (可食部100g当たり)

  ビタミンC
(mg)

カリウム
(mg)

葉酸
(㎍)
コールラビ 45 240 73
ゆで 37 210 71
キャベツ 41 200 78
ゆで 17 92 48

※1出展:日本食品標準成分表2020年版(八訂)


キャベツと比較すると、その差は歴然。損失率はビタミンCがキャベツ58%に対し、コールラビは17%。カリウムはキャベツ54%に対し、コールラビは12.5%。葉酸はキャベツ38%に対し、コールラビは2.7%と、かなり少ないですよね。

野菜の栄養素は加熱により損失してしまうものが多いなか、コールラビは加熱による損失が少ないので、加熱にも適した野菜ということになります。ユニークな見た目ではありますが、調理法を選ばない万能選手なんですね。

 

 

 

旬をおいしく味わうための、
知っておきたい3つのポイント

 

<ポイントその1>
口当たりよく仕上げるには、皮を厚めにむく

コールラビをカットしている写真

 

コールラビはかぶのように、サラダや煮込み料理などに使うことができますが、どのような料理にするときでも、皮は厚めにむくのがポイントです。茎を切り落としたら、包丁を使って厚めに皮をむいていきます。硬い繊維質が残らないように、皮と実の境目の色が変わる部分を目安に包丁をいれていきましょう。

皮むきを丁寧に行えば、あとはアク抜きなどは不要なので、スライスや千切りでサラダに、短冊切りやいちょう切りで炒めものに、くし切りで煮物にするなど、さまざまな料理に使うことができます。むいた皮は細切りにして、きんぴらで食べることもできますよ。

 

紫色のコールラビ


実はコールラビには、緑色のものと紫色のものがあります。紫色はあざやかで目を引きますが、皮をむいてしまうと、中身の色はどちらも同じクリーム色。味わいも変わりはありません。皮の色を活かしたい時は、切り方や調理法に工夫が必要です。

 

 

 

<ポイントその2>
まずは、生のまま食感を楽しむべし

 

コールラビの旬は冬。12月頃から国産品も出回りはじめるので、まずは生でコリコリとした食感を楽しんでみてください。

 

<新鮮なコールラビの見分け方>

コールラビは成長スピードが速い野菜。そのため、あまり大きいものは、実がかたくなり、“ス”ができていることがあります。目安としては、直径が10cm弱くらいのものがおすすめです。皮にハリがあり、ずっしり重たいもの、葉つきの場合は葉先までみずみずしいものを選びましょう。

※ス……野菜の中にできてしまう空洞のこと

 

 

コールラビとスモークサーモンのカルパッチョの作り方

コールラビの料理のイラスト

 

【材料】
コールラビ…1個、スモークサーモン…10枚、オレンジ…1個、オリーブオイル…大さじ2、塩こしょう…少量、ケッパー…お好みで

 

【作り方】

①コールラビは皮を厚めにむき、薄切りにする。
オレンジは皮をむき、半分はくし切りに、半分は果汁を絞る。皮はみじん切りにするか削る。
オリーブオイル、塩こしょう、オレンジ果汁を混ぜ合わせる。
お皿にコールラビをひろげ、オレンジ、スモークサーモンをのせる。
⑤ ③のドレッシングをかけ、オレンジの皮、ケッパーを散らす。

 

【作り方のポイント】

ドレッシングはオレンジ以外にも、グレープフルーツなど柑橘類との相性がよいです。また、クレソンやベビーリーフをのせてサラダ感覚で食べたり、スモークサーモンを生ハムに置き換えてもおいしいです。

 

 

 

<ポイントその3>
葉つきのものなら、葉っぱまで活用しよう

コールラビの写真


葉つきのコールラビは、葉をつけたままにしておくと栄養が葉にとられてしまうので、買ったらすぐに葉は切り落としておきましょう。

 

コールラビの葉は緑黄色野菜で、実にはほとんど含まれないβ-カロテンが含まれています。かぶや大根の葉と同じように、炒めものやスープに入れたり、ふりかけにしたりするのもおいしいですよ。クセがないので、グリーンスムージーのベースにするのもおすすめです。

 

 

 

万能野菜で冬の料理を楽しもう

見た目のユニークさから、味わいにもちょっとクセがありそう……と思われがちなコールラビ。しかしその正体は、どんな調理法・味つけにもしっかりフィットする万能野菜なのです。捨てるところがなく、全部おいしく食べられるのも優秀ですよね。


ヨーロッパや中国でよく食べられているので、洋食や中華でも使えますし、かぶと同じように使えば、和食のアレンジとしても大活躍。


胃腸への負担が増えがちな、これからの時期にもぴったりです。この冬は、コールラビを存分に楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

イラスト/中川美香

 


 

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WRITER

小島香住
Kasumi Kojima

野菜ソムリエプロ&管理栄養士。食品メーカーでの営業・商品企画開発・メニュー開発などの勤務を経て、現在は1歳の男の子の育児をしながら、WEBサイトやInstagramで野菜の情報を発信。セミナー講師としても活動している。
「まんぷくベジでは、
野菜や果物のすばらしさをたくさんの方に知ってもらうため、おいしく食べて、キレイで健康に過ごすための情報を発信していきます!」