おいしく食すために、
知っておきたい果物の保存方法とは
【果物保存のキホン 秋冬編】

この果物が出てくると季節の訪れを感じる…という人も多いのではないでしょうか。旬の果物をよきタイミングでおいしく味わうには、正しく保存しておくことが大切です。そこで、知っているようで意外と分かっていない、基本的な果物の保存方法についておさらいしてみましょう。

果物保存の3つのキホン

・デリケートな果物は、果肉が傷まない方法を知っておく
・冷蔵庫に保存する前には水洗いはしないのが基本
・追熟が必要な果物は、常温保存で食べ頃まで待つ

 

 

<ぶどう(葡萄)> 
大粒のぶどうは、少しだけ軸を残してカット

ぶどうの写真

 

ぶどうは傷みやすく、そしてとてもデリケートな果物。買ってきたら、できるだけ早めに野菜室に入れるようにしましょう。


デラウエアなど小粒の場合は、房ごとキッチンペーパーで包んで、保存容器に移して野菜室に保存します。ぶどうは衝撃に弱いので、必ず袋から移し替えるようにします。その際に、ぶどうは洗わないままでOK。


大粒のぶどうの場合は、ハサミを使って粒をすべて切り落とします。その際に軸を数ミリ残してカットすると、果汁がもれないので、傷むのを抑えて保存ができます。切り落とした粒は保存容器や冷凍用保存袋に入れて野菜室に入れましょう。

 

また、ぶどうを洗うときも優しくを基本に。房ごと食卓に出す場合は、ボールに入れて水を流しながらゆすり洗いをします。これで、2?3回水を替えれば、房の内側までしっかり洗えます。

 

長く保存したい場合は冷凍も可能。小粒の場合は1房ずつラップに包んで、大粒の場合は1粒ずつ冷凍用保存袋に入れて冷凍します。ただし、ハリや香りを楽しむシャインマスカットは、冷凍するとその良さが損なわれてしまうので、あまり冷凍にはむきません。

 

 

 

<かき(柿)>
追熟するなら常温、保存したいなら野菜室へ

柿の写真

 

かきは常温で置いておくと、5日程度でやわらかくなります。買ってきたときにかたいと感じたら、ヘタ部分を上にしてポリ袋に入れて常温で置いておくと追熟が進みます。もしシャキシャキで食べたい、もしくはもう少し保存しておきたいのであれば、野菜室に入れておきましょう。

 

野菜室で長めにもたせたいのであれば、ヘタを乾燥させないことが大切です。濡らしたキッチンペーパーなどをヘタにかぶせ、ラップで包んで、さらにそれをポリ袋に入れて野菜室へ入れておきます。その際、ヘタを下にしておくのもポイント。これで、2週間程度は鮮度を保てます。

 

また、かきは冷凍することもできます。ラップでひとつずつ密封し、冷凍用保存袋に入れておけば、3カ月ほど保存がききます。自然解凍すれば、そのままシャーベットのようにおいしく味わえますよ。

 

 

 

<りんご(林檎)>
りんごはポリ袋に入れて密封し、野菜室へ

りんごの写真

 

りんごは温度差がある場所では傷みやすいので、ポリ袋などに入れて密封し、野菜室に入れておきます。箱で購入して冷蔵庫に入りきれない場合は、暖房が効いている部屋や直射日光が入る部屋を避けて、なるべく温度の低い場所で箱ごと保管しておきましょう。

 

冷凍したい場合は、りんごの表面をしっかりと水洗いし、水気を切ります。皮はむかずに8等分ほどにカットして、保存袋などに入れて冷凍しましょう。

 

りんごを洗うときは、皮をしっかり30秒ほど水洗いします。皮をむかずに食べる場合は、ヘタやおしり部分もしっかり洗いましょう。種類によっては皮がべたつくことがありますが、これはワックスなどではなく、りんごが熟しているサインです。
 

 

 

<みかん(蜜柑)>
みかんはヘタを下にして保管するのが基本

みかんの写真

 

みかんは、冬の時期なら常温でOK。玄関や廊下など、暖房が効いていない温度の低い場所で保存しましょう。段ボールの場合は、底に新聞紙などを敷いて、ヘタが下になるように並べます。ヘタを下にすることで、乾燥を防ぎます。このとき、皮が柔らかくなったり、カビが生えてしまったみかんはすぐに取り除いて。一段並べ終わったら、その上にまた新聞紙を広げて、同じように並べます。

 

袋入りみかんの場合は、かごやざるに移し替えて常温保存するのもおすすめ。キッチンペーパーなどを敷き、ヘタを下にしてみかんを並べます。ただし、冬場以外の時期は野菜室に入れましょう。

 

みかんは冷凍保存も可能で、皮をつけた状態でも、むいた状態でも冷凍できます。一つずつラップでしっかり包んで、冷凍用保存袋に入れて冷凍します。

 

 

 

<キウイフルーツ>
りんごやバナナと保存すれば、早く食べ頃に

キウイの写真

 

キウイフルーツは、完熟している場合は野菜室で保存します。完熟のサインは、ヘタとお尻を少し押してやわらかくなっていたら食べ頃です。野菜室に入れる際には、乾燥を防ぐためにキッチンペーパーで包んでポリ袋に入れます。

 

まだかたくて完熟していない場合は、食べ頃になるまで常温で追熟しましょう。キウイフルーツをポリ袋に入れたり、新聞紙に包み、直射日光が当たらない場所に置いておきます。冷蔵庫に入れてしまうと追熟が止まってしまうので要注意。熟していないキウイフルーツを早めに食べたい場合は、りんごやバナナと一緒にポリ袋に入れておくと、追熟が早まります。

 

完熟したキウイフルーツであれば、皮つきのままラップに包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍することができます。しっかり空気を抜いておけば、1カ月ほど保存が可能です。

 

 

 

<アボカド>
追熟が必要なら、風通しのよい場所に常温保存

アボカドの写真

 

アボカドは、皮が黒くなり、押すと少し弾力があるものが食べ頃。皮が緑色でかたいものは追熟が必要です。食べたい時期に合わせて、完熟度を見極めて購入するようにしましょう。

 

まだ熟していないアボカドの場合は、常温保存が基本。風通しがよく、直射日光が当たらない場所などに置いておきましょう。3?5日程度で追熟が進み、食べ頃になります。


すでに食べ頃のアボカドであれば、ポリ袋に入れて野菜室で保存します。4?5日程度は保存ができますが、食べ頃になったら早めに食べるのがおすすめ。半分だけ使う場合は、残り半分は種を取らずに、ラップで包んで冷凍用保存袋に入れて野菜室へ。このときレモン汁を塗っておけば、変色を防ぐことができます。

 

意外と知られていませんが、アボカドは冷凍保存もOK。1個丸ごとラップで包み、冷凍用保存袋に入れて空気をしっかり抜きます。これで、1カ月程度は保存が可能です。使うときは、自然解凍するようにしましょう。

 

 

<いちご(苺)>
果肉同士が重ならないように、別容器に入れ直す

いちごの写真

 

クリスマス時期に店頭に並ぶいちごは、果肉がやわらかく、とてもデリケートな果物。買ってきてすぐに食べない場合は、パックから一度全部出して、少し大きめの容器に移し替えます。容器の底にキッチンペーパーを敷き、重ならないように並べて野菜室へ。少し面倒ですがこれをすることで、果肉がつぶれて傷むのを防いでくれます。このとき、保存する前に水洗いはしないのが鉄則です。


食べるときは、流水で5分ほどつけて、やさしくふり洗いを。ヘタを切ってから洗うと、ビタミンCが流れ出てしまうので、必ずヘタをつけたまま洗いましょう。

 

食べきれない場合は冷凍保存もおすすめ。いちごをヘタつきのまま洗って、キッチンペーパーでしっかりと水気を取り、最後にヘタを取って冷凍用保存袋に入れて冷凍しておきます。解凍後は、そのままシャーベットのようにしたり、シェイクやソースなどに使うのもいいですね。

 


 

店先に並んでいるタイミングが、その果物の食べ頃とは限らないのが、果実の難しいところ。柿やキウイフルーツなどは追熟が必要であれば、常温で置いておき食べ頃を待ちましょう。また、いちごやぶどうなど傷みやすい果物は、正しく保存をすることで、食べたいタイミングまで野菜室で鮮度を保つこともできます。さらに冷凍すれば、保存期間を長くできる果物もあります。

 

ぜひ、種類ごとの基本の保存方法を知って、旬の果物をおいしくいただきましょう。

 

 

参考文献:
『もっとからだに美味しい 野菜の便利帳』(高橋書店)

WRITER

内田あり
Ari Uchida

フリーランスの編集ライター。食・子育て・住宅・インテリア・植物・ガジェットなど多岐にわたるジャンルで、ムックや雑誌、フリーペーパー、WEBコンテンツなどで執筆。高校生と中学生の2人の娘をもつ母であり、子どもたちの野菜嫌いを克服させるべく、献立に頭を悩ませる日々。野菜不足になりがちなので、毎日の食卓には手作りのピクルスを添えるよう心がけている。