冬至(とうじ)とかぼちゃ
[2023年12月22日]二十四節気

WRITER/坂田芽唯

日本の暦と旬の野菜-冬

2023年は12月22日に迎える、一年の中で最も日が短い冬至。この日を境に、少しずつ日が長くなっていきます。

この冬至の頃から2月頃にかけて、茶道の世界では、「夜咄の茶事(よばなしのちゃじ)という茶会が行われます。夜咄の茶事とは、日が暮れる17時頃に、ろうそくの明かりのみで行う茶事のこと。茶人たちは早くに日が沈むなか、ろうそくの明かりを頼りに、夜長を楽しんだといわれています。

※二十四節気とは、1年を春夏秋冬の4つに分け、そこからさらに6つに分けた、約15日間の季節を表す言葉。現在は最初の日だけを指すことが一般的ですが、本来はこの15日間を表します。

※日本の暦は、旧暦(太陰太陽暦の暦法「天保暦(てんぽうれき)」)から、1872年にグレゴリオ暦(太陽暦)が採用され、新暦と呼ばれます。特別な表記がない場合を除き、日付は新暦です。

※二十四節気の日付は毎年異なり、1日程度前後します。

冬至にかぼちゃを食べる理由とは?

冬至_かぼちゃ

 

冬至には、昔からかぼちゃを食べたりゆず湯につかったりしますね。私たちにも身近なならわしですが、なぜ、行うようになったのでしょう。それぞれご紹介します。

まず、かぼちゃを冬至に食べるようになったのは、甘く栄養のあるかぼちゃを食べることで、寒い冬を乗り切ると考えられていたためです。

かぼちゃは夏頃から収穫される野菜ですが、貯蔵性が高く長期間保管できます。さらに、保存することで甘みが増すため、収穫が減り食べ物の貯蔵に悩んだ冬は、かぼちゃのような栄養価の高い野菜が重宝されたのです。

また、ゆず湯に浸かるようになったのは、「ゆずの香りが邪気を払う」と考えられていたためです。年始に向かうこの時期、新たな年を迎える前に、ゆず湯につかることで身の穢(けが)れを祓いました。

 

旬の野菜・かぼちゃは貯蔵すると甘みが増す


かぼちゃは、5月から9月頃と、11月から3月頃の、2つの長い期間に食べ頃があります。野菜の中でも炭水化物が多く、ビタミン類も豊富で、栄養価の高い野菜です。

かぼちゃには、特にカロテンが豊富に含まれます。
一般的に食卓になじみ深い西洋かぼちゃでは、その量はトマトの約7.4倍です(可食部100gあたり/β-カロテン当量を比較)。カロテンは、体の中で必要な量がビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康を維持するのに役立ちますよ。


<実は豊富なかぼちゃの種類>
かぼちゃには、実はさまざまな品種があります。特徴とともに紹介しましょう。

・西洋かぼちゃ
スーパーで頻繁に目にするかぼちゃは、西洋かぼちゃです。甘味が強くほくほくした食感と、見た目はつるりとした表面が特徴です。

・日本かぼちゃ
粘度が高く、ねっとりとした食感が特徴です。見た目はハロウィンでみるかぼちゃのように、表面に凹凸(おうとつ)があります。

・バターナッツ
クリーム色の表皮で、ひょうたんのような形が特徴的。甘味が強く、ねっとりとした食感です。

 

<そのほかの旬の野菜>
この時期に旬を迎えるそのほかの野菜は、次の通りです。

  • かぶ
  • だいこん
  • こまつな
  • ブロッコリー 

 

旬の果物・ゆずは香りを存分に楽しんで 

冬至_ゆず

この時期、ゆずが旬を迎えます。冬至とも関連が強い柑橘ですね。
ゆずといえば、果肉よりもその香りが主役の果物。料理に皮をのせることで、一気に品の良い風味豊かな料理になりますよ。

ゆずを使い切れないときは、 皮を天日干しにしたり、冷凍保存することで長く楽しむことができます。


一年の締めくくりの時期ですね。年越しの前に旬のかぼちゃとゆずで一年の邪気を清め、気持ちよく新年を迎えましょう。


参考文献
もっとからだにおいしい 野菜の便利帳(高橋書店)
日本人の食事摂取基準 2020年版
 

WRITER

坂田芽唯
Mei Sakata

管理栄養士。栄養・レシピ・ヴィーガンなど、食に関する記事をWEBコンテンツで執筆。その他、カフェのメニュー開発、料理動画制作などをして活動。これまでは給食提供のほか、離乳食指導や食育指導に従事。幼少期から茶道を習っており、日本文化が好き。こども食堂を開くのが夢!