小寒(しょうかん)とかぶ
[2024年1月6日]二十四節気

WRITER/坂田芽唯

日本の暦と旬の野菜-冬

小寒とは、二十四節気(※)の23番目にあたる節気です。2024年は、1月6日にあたります。小寒に入る日は「寒(かん)の入り」とも呼ばれ、本格的な寒さの始まりをあらわします。

 

※二十四節気とは、1年を春夏秋冬の4つに分け、そこからさらに6つに分けた、約15日間の季節を表す言葉。現在は最初の日だけを指すことが一般的ですが、本来はこの15日間を表します。

※日本の暦は、旧暦(太陰太陽暦の暦法「天保暦(てんぽうれき)」)から、1872年にグレゴリオ暦(太陽暦)が採用され、新暦と呼ばれます。特別な表記がない場合を除き、日付は新暦です。

※二十四節気の日付は毎年異なり、1日程度前後します。

この時期に迎える、人日(じんじつ)の節句

この小寒の期間中、1月7日には人日の節句(※)を迎えます。

人日の節句とは、5月5日の端午(たんご)の節句や、7月7日の七夕の節句と並ぶ五節句の一つ。他にも、五節句には、俗に雛祭りといわれる3月3日の上巳(じょうし)の節句、9月9日の重陽(ちょうよう)の節句などがあります。

では、1月7日が人日の節句と呼ばれるようになった由来は何でしょうか。

実は、中国で行われていた、動物を当はめた占いに由来しています。
その動物の占いの中で、7日は人を占っていました。このことから、人日の節句と呼ばれるようになったのです。

 

※節句とは、中国の暦を由来とし、日本の風習などに応じて季節の節目に伝統的な行事を行う日のこと。

 

<無病息災を願う、七草粥>

人日の節句には、日本ではある食べ物を口にする習わしがあります。
その食べ物とは、七草粥(ななくさがゆ)。

中国では、人日の節句の7日に、その年にとれた若菜をスープにして食べる習慣がありました。一方日本では、これと近い時期、1月15日に、宮中で7種類の穀物の粥を食べて豊作を祝っています。この中国と日本の二つの習わしが合わさり、現代まで引き継がれたのが、七草粥です。

七草に含まれるのは、セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロです。七草粥を人日の節句の朝に食べると、気力がみなぎり、無病息災に役立つと信じられてきました。

一見、なじみのない野菜が多いかもしれませんが、ナズナは現在のかぶにあたります。このように、私たちは、無病息災を願って食べられてきた野菜を、知らずのうちに口にしていることもあるのです。

今回は、そんな昔から親しまれてきた野菜・かぶについてご紹介します。

 

 

葉の方が栄養価が高い!?  意外と知らない、かぶの旬と栄養

日本の暦と旬の野菜-小寒-かぶ

 

かぶの旬は、1年に2回あります。1回は、10月〜1月頃の秋物。この頃にとれるかぶは、甘味が強いことが特徴で、最も量が多く出回る時期となっています。もう一つの時期は、3月〜5月頃の春物。秋物に対して、やわらかい肉質が特徴です。

かぶの体への働きで、特に注目したいのが消化器への作用。
かぶは、デンプンの消化酵素の一つ、アミラーゼが豊富に含まれています。そのため、胃もたれなどを予防し、消化器が順調に働くのを手助けしてくれます。

また、かぶは葉つきで販売しているものも多いですよね。
この葉、どうされていますか?

実は、意外なことに、かぶは根より葉の方が栄養価が高いのです。
たとえば、根と比べて、葉にはカルシウムが約10倍、葉酸が約2倍含まれています。

また、根には全く含まれていなくても、葉には含まれている栄養素もあります。それは、ビタミンKやβカロテンです。
ビタミンKは、骨を丈夫にするのを手助けし、βカロテンは免疫を活性化させる作用を期待できます。

同じ野菜でも、根と葉でこんなにも違いがあるのは、おもしろいですよね。
今まで葉は捨ててしまっていた、という方も、ぜひ調理に使用してみましょう。

2cmほどに切り、味噌汁の具に入れたり、さっと茹でてお浸しなどにするのが、手軽でおすすめです。

 

<この時期に旬を迎える野菜>

この時期、他に旬を迎える野菜は、以下の通りです。

 

  • はくさい
  • しゅんぎく
  • 芽キャベツ
  • みずな
  • こまつな
  • ほうれんそう
  • 寒玉キャベツ
  • くわい
  • ゆりね
  • れんこん

 

小寒時に旬を迎える果物は柑橘類!

日本の暦と旬の野菜-小寒-柑橘類

 

みかん、オレンジ、いよかんなどの柑橘類が旬を迎えます。
柑橘類は、なんといってもビタミンCが豊富。100gあたり、32mgのビタミンCが含まれています。
他の果物と同量100gあたりを比較すると、りんご(皮付き)は16mg、バナナは6mgのビタミンCを含みます。みかんは、りんごの2倍、バナナの約5倍のビタミンCを含んでいることがわかります。

ビタミンには大きく、水溶性と脂溶性の2種類があります。
ビタミンCは水溶性のビタミンなので、文字通り水に溶けやすく、体内にため込んでおくことができません。
旬でおいしいこの時期に、柑橘類を食べて、積極的にビタミンCを摂取しましょう。免疫力の向上にもつながります。

 

 

寒さが本格的になる時期、小寒。
体調を崩しやすい季節だからこそ、旬の野菜や果物から栄養素を摂取していきましょう。
この機会に、無病息災を願いながら、七草粥をご家庭でつくってみるのも素敵ですね。

WRITER

坂田芽唯
Mei Sakata

管理栄養士。栄養・レシピ・ヴィーガンなど、食に関する記事をWEBコンテンツで執筆。その他、カフェのメニュー開発、料理動画制作などをして活動。これまでは給食提供のほか、離乳食指導や食育指導に従事。幼少期から茶道を習っており、日本文化が好き。こども食堂を開くのが夢!